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プレー&コラム
2017.01.26

試合で緊張はした方がいい、大事なのはボリュームを調整すること

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.1 講師◎大儀見浩介

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心は鍛えれば誰でも強くなる

みなさん、こんにちは。メンタルトレーニング・コーチの大儀見浩介です。私は、心を鍛えることを仕事にしています。

メンタルトレーニングとは何かを簡単に説明しますと、1950年代初頭の旧ソ連で研究が始まり、当初は宇宙飛行士が宇宙船で作業するプレッシャーに打ち勝つために、自分で自分の力をつけることが目的でした。1960年代前半に、オリンピックで金メダルを取るためにスポーツに応用されるようになり、ソ連はオリンピックで圧倒的な強さを見せます。アメリカなど西欧諸国もメンタルトレーニングの研究に取り組むようになり、現在、メンタルトレーニングが最も活発に行われているのがアメリカです。

「メンタルトレーニングはトップアスリートのもので、私には関係ない」と考えている人も多いかと思いますが、そんな人にこそ、ぜひメンタルトレーニングに取り組んでほしいのです。血液型、生まれた場所、背が高い低い、性別、年齢は問わず、心は誰でも鍛えれば強くなります。試合や練習で実力を発揮するために、心をトレーニングしましょう。

緊張しているのか、リラックスしすぎているのか、自分で自分を知ろう(※写真はイメージです) 写真=藤井勝治

緊張しているのか、リラックスしすぎているのか、自分で自分を知ろう(※写真はイメージです) 写真=藤井勝治

緊張はないよりあった方がいい

今回は「緊張」について考えてみたいと思います。

みなさんは「緊張」と聞いて何を連想しますか。体がガチガチになる、無駄な力が入る、心臓がドキドキバクバクする、どちらかと言えばマイナスのイメージですね。

ですが、緊張はないよりあった方がいいのです。研究の結果、緊張感がないと、理想的な心理状態をつくれないということが分かっています。

心の状態を表すグラフ(下の逆U字曲線)を見てください。グラフの左に行けば行くほどリラックス、右に行くほど緊張した状態を示します。リラックスしすぎの状態、例えば寝起きなどでは、良いパフォーマンスを発揮できません。緊張興奮が強くても同様です。

人間が最も実力を発揮できる部分を、ゾーンやフローと言います。疲れを感じなかったり、時間が短く思える、野球選手だとボールの縫い目が見えた、といった状態ですね。逆U字曲線を見ていただければ分かるように、適度な緊張や興奮がないと、その状況は作りだせないわけです。

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中高生の子の多くは、本番当日に緊張しすぎの状態にあります。そこで大切なのが緊張興奮を下げていく(ボリュームを落とす)、つまりリラックスするテクニックを身につけることです。

緊張しすぎ? リラックスしすぎ?

緊張しすぎ、つまり過緊張の人は、神経が研ぎ澄まされ過ぎている状態です。真っ暗な森の中を裸で歩いていると想像してください。足元が見えないから何かを踏みつけるかもしれないし、服を着ていないので何かが当たって傷つくかもしれない。だから、ちょっとしたことに驚いたり、見なくてもいいものを見てしまったり、必要以上にキョロキョロします。

ソフトテニスの試合だったら、聞かなくていいことを聞いたり、対戦相手を気にしたり、指導者はこんな顔をしているとか、いろんな情報を集めすぎて、頭の中がパニックになっているんですね。心拍数も、何もしていないのにドキドキバクバクと上がっていきます。これがどういう状態かというと、考え過ぎで脳が軽い酸欠になっているんです。

人間には交感神経と副交感神経がありますが、緊張しすぎの人は交感神経が活発の状態です。そして呼吸は、交感神経が働いているときには早く吸おう吸おうとします。軽いパニック状態です。分かりやすい例で言うと「溺れるものは藁をもつかむ」ですね。溺れている人は「ヤバい、ヤバい」とパニックになって、息を吸おうして、水を飲んで溺れてしまいます。こういうときにいかに息を整えられるか――つまり呼吸が大切になってきます。

『メンタルの状態とパフォーマンスを表す逆U字曲線』を見ていただければ分かるように、選手が目指すべき良いメンタルとは、リラックスと緊張の中間の位置、ゾーンやフローと呼ばれる状態です。「自分が今どの位置にいるのか」、自分で気づくことが大切になってきます。

緊張しすぎ? リラックスしすぎ?

大会当日のあなたは緊張しすぎていますか? リラックスしすぎていますか? それともゾーンに入れていますか。

◎緊張しすぎの状態
・なんかドキドキしてきた
・周りの目や声が気になる
・時計を何度も見る」「時間が気になる」

◎リラックスしすぎの状態
・おちゃらけてしまっている
・気が緩んでいる

For 指導者

指導者の方は、子どもたちに「今日のフィーリングは?」「今、逆U字曲線で言うとどのくらい?」と心の状態を聞いてあげましょう。自分の状態に気づく力を育ててあげてください。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。

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