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プレー&コラム
2017.05.22

勝てる闘争心とはセルフコントロールできていて意図がある

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.15 講師◎大儀見浩介

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闘争心には4タイプ

駆け引きは冷静になることが大切です。『あっち見てホイ』で、スピードが上がってパニックになった人が自滅するのと同じですね。

駆け引きに関連して、人間の攻撃性を分類してみました。スポーツは攻撃性があった方がいいですし、闘争心は上げていった方がいいですが、方向性を間違えてはいけません。

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①衝動的攻撃性
セルフコントロールもできていないし、意図目的もない状態。衝動的に人を傷つけたり、湧きあがってくるようなアブノーマルな攻撃性です。

②敵意的攻撃性
セルフコントロールはできていませんが、意図目的がある攻撃性です。相手を敵と見定め、「アイツだけは倒す」「あのチームだけには負けない」という状態。ただ、闘争心があり過ぎて興奮状態でウワーッと向かっていっているだけ。このタイプは前半勝っていても後半はガタガタだったり、始めだけ勢いで入って段々やられてしまいがち。

③達成的攻撃性
セルフコントロールはできているものの、意図目的がありません。相手の弱点やプレースタイルに関係なく、ただ自分のプレーだけをパカスカやっている。中高生に最も多いタイプです。ただの自己満足。「言われたことだけ」「練習でやったことだけ」をやろうとする、マジメな子がなりがちです。

④戦略的攻撃性
セルフコントロールもできていて、かつ意図目的があり、戦略的に戦えています。試合中の心理状態として理想的です。みなさんはここを目指していきたいですね。

日本のスポーツ界でも、攻撃性のコントロールは課題です。ひと昔前の選手は本番で力が出せないパターンが多かったのですが、今の選手は実力は出せるけど……勝てないんです。相手を考えず、”自分たちのプレーを”と好き勝手にやっているから。いわゆる③のタイプですね。このタイプに対して、指導者は「あのとき、相手はどんな表情をしていた?」「あそこでなぜあのプレーをしたの?」といった問いかけをして、心理戦術について考えるきっかけを与えてほしいと思います。

駆け引き上手は気配り上手

駆け引きのことを私は心理戦術と呼んでいますが、イライラしたら負け、相手の目になって、頭になって考えるが基本です。相手にとって嫌なことを繰り返すだけで、相手は自滅します。

心理戦術のトレーニングはコートの内外で行いましょう。試合中・練習中は相手の嫌なところを探しますが、日常生活では人の喜ぶこと(気配り、配慮)を探します。日常生活で人の嫌がるところを探したら……信頼をなくしますし、人間としての成長が止まり、選手としての成長も止まってしまいますよ(笑)。

駆け引き上手は気配り上手、聞き上手です。常にいろいろな人の話を聞くこと、表情を見ることで、自分の行動や近い将来のイメージをつくり出すこともできます。自分の成長につながる情報をたくさん集めてくださいね

最後に、結果思考の人は、部活動ではちゃんとしていても、家に帰ったらズルズルというタイプが多いのではないでしょうか。家では誰にも評価されないので、手を抜くのです。自分の気づき、発見を大事に考えている人は、日常生活もきちんとします。部屋が汚い人やロッカーやカバンの中が散らかっている人は要注意です。結果主義、評価主義では、人としての成長もある程度で止まってしまい、選手としても伸びません。

いつも寝癖がついている人は、自分はよくても、ノンバーバル(非言語)コミュニケーションで「だらしない」「朝起きれていない」というメッセージを送っていることになります。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。

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