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プレー&コラム
2017.06.20

【貝瀬×吉田】ギャラリーに楽しんでもらう気持ちは大事。「私のプレーを見てて」と思うと、スーパープレーが出る! #04(全4回)

WEB連載シリーズ『高校王者たちに聞く、勝つために必要なこと』◎ヨネックス新人対談

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東京・湯島のヨネックス本社で。『My Bag, My Buddy』取材中の一コマ。ソフトテニス・マガジン7月号に貝瀬選手、同8月号(6月27日発売)に吉田選手を掲載

高校シーンでトップに上り詰めた選手たちに『勝つために必要なこと』を聞くWEB連載シリーズ第2弾は、ヨネックスの同期スーパールーキー、貝瀬ほのか(和歌山信愛高卒)と吉田栞里(昇陽高卒)が登場。

小中高とさまざまな大会で頂点を経験してきた貝瀬と吉田。小学校時代からお互いの存在を強く意識していたという後衛と前衛が今春、ヨネックスでチームメートに。【貝瀬×吉田】対談の最終回、そんな2人が、高校、そして社会人に至る今まで『勝つために必要』と、実感を込めて語ることとは。

貝瀬ほのか(ヨネックス1年目)
かいせ・ほのか 1998年4月11日生まれ。新潟県出身。身長159.6cm、左利き、後衛。見附市スポ少(小1)→見附西中→和歌山信愛高→ヨネックス。2017年ナショナルチーム
高校時代の主な戦績◎インハイ個人3位&団体5位(2014)、全日本高校選抜優勝(2015)、インハイ団体優勝(2015)、国体優勝(2015)、全日本高校選抜2位(2016)、ハイジャパ単優勝(2016)、インハイ個人3位&団体2位(2016)
吉田栞里(ヨネックス1年目)
よしだ・しおり 1998年5月31日生まれ。大阪府出身。身長166cm、右利き、前衛。岸和田ジュニア(小1)→昇陽中→昇陽高→ヨネックス。2017年全日本U-20チーム
高校時代の主な戦績◎インハイ団体3位(2014)、ジュニアジャパンカップU-17単優勝(2014)、ジュニアジャパンカップU-17複優勝(2015)、インハイ団体3位(2015)
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貝瀬は5月の全日本シングルスで8強。社会人1年目で環境が変わる中でも、しっかりと結果を残した 写真◎宮原和也

 

前衛は特に、考えたことがハマると楽しい

――「勝つために必要なこと」続いて貝瀬選手の二つ目。

貝瀬 『試合では平常心で。向かっていく。上から目線で試合に入る』です。小学生の頃から、父に言われていましたし、自分でも、しっくりきて、今でも意識しています。

まず『平常心で。向かっていく』ですが、高3にもなると、試合で向かってこられますよね。信愛の林(三千夫)先生にも、そういうときは「しっかり向かっていきなさい」と言われ、心を落ち着かせ、平常心の気持ちを持つように意識していました。試合では、良いとき、悪いときのイメージがそれぞれありますが、常に良いときのイメージでプレーできるよう、自分なりに意識することが重要だと思います。

『上から目線で試合に入る』は、ギャラリーがたくさんいたら、楽しんでもらおうという気持ちになることって、意外と大事だと思うんです。たとえば、「私のプレーを見てて!」と思ってプレーすると、「いいところを見せたい」「拾えない球も拾って見せる」など、スーパープレーが出たりします。

これが受け身で試合に入ると、絶対に「私を見てて!」なんて気持ちになりませんよね。そうなると、負けることも多い。だから、試合では「見てて!」という気持ちで、受け身にならず、相手を上から見るつもりで臨むとよいと思います。

――吉田選手の二つ目は?

吉田 私は『考えることをやめない』です。試合をするとき、「こうなったから、次はこうする」と考えますよね。でも、相手に攻め込まれて、つらくなったりすると、考えられなくなって打つ場所がなくなったりしませんか。考えることをやめてしまえば、そこで終わってしまう。どんな状況になっても、考えることをやめなければ勝つこともできます。

高校時代、昇陽の江口(直樹)先生から「考えろ」と私たちはよく言われていました。考えても分からないからといって「投げるな」ということです。負けても、考えることはやめてはいけない。次のためにも、考えて、相手と勝負をしていく。その積み重ねも、また大事なんだと思いました。

――吉田選手は恵まれた身体能力とセンスで、前衛として活躍できるのだと感じていましたが、「考える」ことを武器に、相手との駆け引きにもいっそう磨きをかけてこられたんですね。

吉田 一応、「考えることをやめない」を実践しています。前衛は特に、考えたことがハマると楽しいですよね。まだまだ大きなことは言えませんが、こういうことが、前衛の駆け引きの醍醐味というのでしょうか(笑)。

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負けても、考えることをやめない、その積み重ねが次の勝利につながると語る吉田

日常の努力が、大事な試合に表れる

――では、貝瀬選手の最後の一つは?

貝瀬 『努力をする』です。練習以外のところで、時間をつくってトレーニングをするのも大事だと思います。努力を重ねれば、試合前に不安になったとしても、「あれをやってきたから、大丈夫!」という自信に変わります。

日常生活も同じです。高校の寮生活は厳しかったので、ひとつ一つ指摘されました。ごみを拾う、早寝早起きをする……そういう日常の努力が、大事な試合に表れる。生活に関することは、いまだに身についています。練習で大変でも、「洗濯したら自分でキレイにたたむ」「部屋をキレイにして出る」とか。いまだに実践しています。

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日常生活の努力が、試合で結果になって表れると語る貝瀬

吉田 私の最後の一つは、二つ目に挙げた「考えることをやめない」と似た部分もあるのですが、『あきらめない』です。あきらめると、そこですべて終わってしまいます。最後まで、ツーバウンドするまで、ゲームセットとコールされるまで、ペアとしっかりと戦っていくことを心がけています。

経験談なのですが、ファイナル2-6で負けていて、その大会はどうしても勝ちたい試合だったのですが、状況は非常に厳しくて。「負けるんだったら、悔いなくやろう」とペアと話し、力を発揮できるように気持ちを切り替えました。そうしたら、ポイントをまくって勝てたんです。あのときの成功体験が、今でも残っています。だから、私は「あきらめないこと」をこれからも実践していきたいと思っています。

貝瀬ほのかの勝つために必要な3つのこと
「負けたくない」という気持ちを強く持つ
試合では平常心で。向かっていく
上から目線で試合に入る←巻き込む
努力をする(トレーニング+日常生活)
吉田栞里の勝つために必要な3つのこと
挑戦する
考えることをやめない
あきらめない

貝瀬ほのか×吉田栞里対談INDEX

#01 貝瀬の第一印象は打ち方がすごい。対戦できるのがうれしかった
#02 勝敗を左右するのは細部。高校では細かいところまで意識するのが大事と教わった
#03  試合では課題を持ち、自分の限界に挑む。うまくいくと、いいプレーができる
#04 ギャラリーに楽しんでもらう気持ちは大事。「私のプレーを見てて」と思うと、スーパープレーが出る!

取材・構成◎八木陽子 インタビュー写真◎山口高明

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