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2017.07.08

【張人対談・ガットを語ろう。】テンションについて[前衛編](廣島敦司×嶋﨑雅人)

#03 テンションについて[前衛編]

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ガットの商品理解と張りの技術を磨き、老若男女のソフトテニスを全国でサポートする「張人(はりびと)」によるガット談義。「張る人目線」ならではの世界へ。
※このテキストは記事広告です(6回連載)

GOSEN 販売促進課 廣島敦司氏
1981年3月27日生まれ。
大学時代にはジュニアジャパンにも選出された元トップ選手。ストリンガー歴14年

東京都昭島市
マックスポート
嶋﨑 雅人氏
1975年10月3日生まれ。ストリンガー歴18年

打感を決める、3つの要素

廣島 テンションは、本当に人それぞれ。大会サポートなどでストリンギングしていると、中高生の平均は、前衛、後衛に関係なく20ポンド後半から35ポンドという感じです。そして皆さん、「テンションは固定」という方が多いですよね。同じ機種のラケットでも年式によってマイナーチェンジされて発売されている場合もあるので、必ずしも同じスペックとは限りません。だから、テンションの数値は変えない――そういう傾向がありますが、テンションにも気を配るべきですね。

嶋﨑 特に前衛の場合、ほとんど変えませんよね。ラケットを替えても、ガットの種類を変えても、テンションだけは変えないという方がほとんど。

廣島 たとえば「俺は32」といったように、自分の中で、「コレ」という数字を持っている。私たちストリンガーがアドバイスしても、変えることはほとんどない(笑)。

嶋﨑 試合会場などで、試合当日にガットを張り替えたい選手もいるじゃないですか。そういう場合は、気候条件などを踏まえて、「今日は小雨が降っているから、ボールが吹かないように、少し固めのテンションで張っておこうか」と会話することはありますね。最近は雨でも気にせず、同じテンションでという選手もいます。

廣島 普段、張ってもらっているお店で「30ポンド」で張っていたとして、会場で張り替えなくてはいけなくなった場合、同じ「30ポンド」で張っても、実際はいつもと同じには仕上がらないんですよね。
マシンとストリンガーが違えば、同じ数値でも、仕上がりは違うんです。だから、一番いいのは、いつも張り替えているお店でしっかり準備してくることですよね。

嶋﨑 2~3年前に比べ、店頭ではテンションは下がり傾向にありますね。かつては、特に男子は「硬いほどカッコいい」みたいな風潮があって(笑)。ウチのお店では、今、30ポンドを超える人はあまりいない。小学生などは22~24ポンドくらいですが、中学生から一般の選手の方では平均で28ポンド前後ですかね。

廣島 総じて「ラケットの性能+ガットの種類+テンション」の相性が重要なんですよね。打感を試して、自分自身に適した状態を把握できるとよいと思います。

テンションは、コミュニケーションの手がかり。絶対の数値ではない。

廣島 弊社にテニスの「デビスカップ」「フェドカップ」のオフィシャルストリンガーがいるのですが、代表選手の中には寒いシーズンに5~10ポンド下げることもあるそうです。ソフトテニスでは、ガットの種類を変えることはあっても、テンションを変えることはほとんどない。

嶋﨑 我々の感覚では、ガットの種類を変えるより、テンションを変える方が勇気が必要ですよね。

廣島 そのテンションの数値に安心感がありますからね。ただ、テンションを落とした方がボールタッチは繊細になります。(フィーリングが)マイルドになるというか。
気候や湿度によって、寒い時期はガットも硬くなりますから、その分、腕に負担がかかります。なので、冬場には少しテンションを落とすという手もあります。夏場と同じタッチフィーリングではないということです。

嶋﨑 データとして持ってはいませんが、もしかしたら暖かい地方、寒い地方でテンションの傾向も変わってくるかもしれませんよね。
日頃痛感していることですが、テンションの本質は感覚。たとえば張りたては硬いと感じる人がいますよね。毎回張らせてもらっている選手もいれば、試合会場で、その日急にガットが切れたという選手がストリンガーブースに来て張り替えることもあります。そういうときは、「少し馴染んだ感覚に近づけましょうか」(テンションを少し落としますか?)と提案することもありますよね。

廣島 正直なところ、「テンション28ポンド」といっても、数値とフィーリングは直結しない。当てにならない。だから、本人の打感、フィーリングで判断してもらうしかない。その人の「28」の感覚に、状況に合わせてセットする、それが僕らのテンションなんですよね。

嶋﨑 奥が深い!

廣島 暑くなればガットも伸びやすく、緩みやすい。インターハイなどの会場では、地元で張り替えていっても、試合会場とは気候も異なるため、ボールの飛びも違う。そういうときのために、僕らストリンガーが大会会場に行ってサポートをしています。どんどん相談していただきたいですね。

嶋﨑 そうそう! テンションが同じ数値でも、仕上がりに違いがあることを知っていただきたいですね。

廣島 ユーザーさんに「お任せします」と言われて、ガットの種類はおススメできるんです。ただ、テンションはご自身のフィーリング。テンションの最終判断は自分自身なんです。

嶋﨑 テンションだけは、ユーザーさんとストリンガーが会話の中で共有できているか、難しい。ボールの飛びが悪いなら、「テンション落とした方がいいかもしれないね」は提案できても、具体的な数字は言いにくい。だから、会話の中で情報をゲットしたり、気候や、ラケットやガットの状態を見て、臨機応変に対応しなければいけないですよね。

廣島 張り方も影響する。同じテンションでも張り方により、フィーリングは変わってきます。本当に正解がないんですよねえ……。



映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』
ベースボール・マガジン社