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プレー&コラム
2017.07.22

“オリジナル”が固まったことで、精神的にも安定。 それが、プレーの安定感にもつながっている

WEB連載 俺のガット論Vol.5 船水雄太

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船水雄太(NTT西日本)
ふねみず・ゆうた
◎1993年10月7日生まれ、23歳。右利き、後衛。黒石烏城クラブ→黒石中→東北高→早稲田大年→NTT西日本2年目


つかんで離す――打つたびにボールに触れる唯一のギア、ガット(別名ストリング)は、ソフトテニスプレーヤーの第2の“てのひら”とも言える。“てのひら”だけに、トップ選手はガットに対してさまざまなこだわりを持っているはず……。

これまで、あえてフィーチャーしてこなかった『ガット』について根掘り葉掘り聞いたら、ガット道は想像以上に奥深かった。『俺のガット論』5回目は、2016年全日本社会人優勝、日本リーグ7連覇中のNTT西日本メンバーにして2017年日本代表候補、日本の元気印・船水雄太選手の登場だ。

3年、4年かけて突き詰めた僕のオリジナル張り

――ガットについては、「こだわり派」ですか、それとも「こだわりない派」?

僕は張りが合っていないとダメ、繊細です! 後衛は「弾く」とか「ボールが乗る」など、1人ひとり好みがあると思いますが、繊細な感覚を持っている人が多いと思います。

僕は高校の頃から、練習量が増えたこともあって『同じ感覚で何本でも打ちたい』という欲求が出てきたんです。ストリンガーさんに相談しながら、「スウィートスポットを上にズラす」こと、そして「下から張る1本張り」という2点のこだわりに落ち着きました。これ、たぶん僕のオリジナルのガット(状態)だと思います!

高校のときからストリンガーさんと試行錯誤しながら、大学3~4年くらいのときに、このオリジナルが完成したんですよ。3~4年かかっていますよね、長い時間をかけて突き詰めたわけです。

今なら、スウィートスポットが(理想の位置よりも)下に落ちていたりしたら、感覚ですぐにわかります。自分のベストを知ることができたかな。ガットは自分の手のひらみたいなもの。自分に合った状態を探し出すことが重要ですよね。

25~27ポンドの緩めが僕の特徴

――ストリンガーさんとの二人三脚で、オリジナルを見つけ出したわけですね。

本当にそうですよね。テニスをする上で、選手はストレスなく居心地よくプレーしたい。いつも同じ張り方、硬さでプレーできるのが理想です。その理想を継続していく。それが固まったということは、僕にとって非常に大きい。ある程度、ブレずに、今に至っていますから。

それと、いつも同じ状態だからこそ、「何かが違う」ときにそれが浮き彫りになるんだと思います。いつもと違うガットの状態で練習しても意味がありません。これって、とても大事だと思います。だから、選手は自分のギアを常に同じ状態にしておかなければならない。

――張り替えの頻度は?

大学生のときには2~3日に1回。ガットの食い込みが気になる前に張り替えます。といっても、4本くらいスペアのラケットを持っていて、張り替えたばかりのときは、30分おきにラケットを替えて慣らしていくんです。僕の場合、『まんべんなく使っていく』派です。試合に入っても、手持ちのラケットを1試合に1本ずつ変えていきますね。

テンションは26ポンドが基本。日本選手は平均して30くらいなのではないでしょうか。その中で、25~27の緩めが僕の特徴でもあります。一般的に、トップ層の選手は硬めのイメージがあるかと思ういますが、緩めにしてボールがラケットに乗る分、繊細なタッチができるんですね。それが、僕にとっては必要なんですね。

僕自身、今は『オリジナル』があり、それが固まったことで、精神的にも安定しています。オリジナルに対する信頼と安心感というんでしょうか。それが、プレーの安定感にもつながっていると痛感しています。

ナショナル後衛・船水雄太のガット論

■高校時代からストリンガーさんと「自分に合った張り」を探求
■「スウィートスポット・上め」「下から張る一本張り」が雄太オリジナルに!
■テンションは25~27、ラケットにボールを乗せて、繊細なタッチを

取材・文◎八木陽子 写真◎宮原和也

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