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プレー&コラム
2017.07.28

すぐにラケットからボールが離れていく感覚のガットでは使えない。 『球持ち感』をもっとも重視する。

WEB連載 俺のガット論Vol.6 長江光一

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長江光一(NTT西日本)
ながえ・こういち
◎1987年10月28日生まれ、29歳。右利き、前衛。総社ジュニア→総社東中→岡山理大附高→早稲田大年→NTT西日本8年目


つかんで離す――打つたびにボールに触れる唯一のギア、ガット(別名ストリング)は、ソフトテニスプレーヤーの第2の“てのひら”とも言える。“てのひら”だけに、トップ選手はガットに対してさまざまなこだわりを持っているはず……。

これまで、あえてフィーチャーしてこなかった『ガット』について根掘り葉掘り聞いたら、ガット道は想像以上に奥深かった。『俺のガット論』最終回(第6回)は、NTT西日本の日本リーグ7連覇を中核となって引っ張り、国際大会ではシングラーとして日本の歴史を変えた男、成熟期に向かう万能選手・長江光一にきいた。

ストリンガーさんとは、心を配って話す

――ボールに接するガットは、プレーヤーにとって非常に重要な役割を果たす道具。このガットを張るストリンガーさんと、選手の方との関係性は大きな意味を持つと思います。

僕は昔からガットにはこだわりがあるんですよ。高校時代からずっと1本張りですし。そこに至った理由も「しっくりくる」というのが大きいですね。ただ現状、いつも同じストリンガーさんに張っていただいているわけではないんです。同じストリンガーさんにずっと張っていただける環境にあるのは、ごく限られた選手になるかと思います。そういう意味では、僕も多くの皆さんと一緒です。

僕がガットに求めるのは、一番に「球を持つ」感覚。すぐにラケットからボールが離れていく感覚のガットでは使えません。僕の場合、ローボレーもシングルスも行いますから、ラケットにボールが当たる時間が長い方が好きなんです。自分の好きな感触で打てていると、フォームも崩れることがありません。『球持ち感』を最も重視しています。

この感覚を、ストリンガーさんにしっかり伝えないといけませんよね。だからこそ、コミュニケーションが大切。僕もできるだけ、自分の思いを正確に伝えるよう、心を配って話しています。

ガットと、モチベーション

――張り替え頻度はどれくらい?

1週間に1回のサイクルで張り替えています。ガットは使うほど性能も落ちますから、できれば毎日張り替えたいくらい。しかし、それは物理的に難しい。乱打後など、目ずれというか、ガットが均等になっていなかったり、ボールの抜け感(しっかりとつかめていない感覚)が出てくる前に替えたいと思っています。

僕はガットが『フニャ~』としているとテニスへのモチベーションが下がるというか……。だから張替えはまめに行うようにしています。

僕の場合は、常に2~3本のラケットを持っていて、それを「今日はA」「今日はB」……というように、A、B、Cをローテーションして使っています。もちろんラケットは同じ重さで。

ガットの種類によってポンドを替えることはあります。ガットの種類が気になっても、ポンドを替えることでしっくりきたりするんですよ。だから、基本31~32であっても、緩めの27にすることもありますね。すべては自分の感覚です。

ガット、ラケット、体調、どれをとってもいつも同じではありません。しかし、ガットに関しては、安定した状態であってほしい。プレーと密接に関わりますからね。

――ガット、奥が深いですね。

ボールと自分との接点です。一番大事なのではないでしょうか。同じようにラケットをスイングしても、ボールが吹くことがありますよね。そうならないよう、常日頃からメンテナンスが必要であり、(ガットの)ベストな状態を自分が知っていないといけない。

プレー中、球が入らなくなる(アウトしてしまう)ことがありますが、そうすると意識レベルも下がってしまう。そういうときにも、ガットがいつもと同じ条件ーー「基準」であり続けてくれるとプレーの質も上がります。

そのガットを仕立ててくれるのはストリンガーさん。選手からも積極的に話をし、日々コミュニケーションをとっていくことで、ガットも、自分のコンディションも100パーセントの状態に近づいていくのではないでしょうか。

ナショナル後衛・長江光一のガット論

■いつも同じストリンガーさんに張ってもらえるわけではない!
■大切なのは、自分の「ベストの張り」を伝えるコミュニケーション力
■3本のラケットでローテーション。1日ごと替えて馴染ませる

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