TOPICS
プレー&コラム
2017.10.07

【林田リコ&宮下こころ】インハイ個人決勝を前に林田の足に異変「これで棄権したら人生終わり」だと思って…Vol.2

WEB連載◎インハイ個人&団体連覇・文大杉並高V2ペア対談

関連キーワード:

7月のインターハイで団体個人連覇の偉業を成し遂げた文大杉並高。最高学年のエースペアとして連覇チームを牽引した個人V2の林田リコ/宮下こころの対談インタビューを掲載!

6月のハイジャパでダブルス連覇、林田は単複2冠を達成し、調子が上向いたかと思いきや…。インハイ前にコンビネーションがかみ合わず、宮下が涙を流したことも。インハイ本番でもトラブルが襲い掛かるが、2人はどう乗り越えたのか。

林田リコ(文大杉並高3年)
はやしだ・りこ◎1999年9月27日生まれ。東京都出身。身長165cm、右利き、後衛。向原ジュニア(小3)→杉戸広島中。2017年ナショナルチーム。

宮下こころ(文大杉並高3年)
みやした・こころ◎2000年2月22日生まれ。石川県出身。身長162cm、右利き、前衛。とりやクラブ(小2)→中能登中。2017年全日本U-17。

雨のハイジャパでダブルス連覇

やりきったと思えるよう、後悔ないようにしよう(宮下)

――徐々にインハイに近づいていき、初夏を迎えて。

林田 本当に今だから話せることなのですが、関東大会あと数日というときに、私の腕が…。人生で一番痛いという状況になってしまったんです。学校としても連覇を続けていたので、それを途切れさせてはいけないと。とにかく治してもらわなければと向かった先が均整所(カラダのゆがみを直す治療院)でした。そこで治療していただいたら、嘘のように上がらなかった腕が動くようになって。

宮下 個人ではミスも出て、流れがつかめず危ない場面もあったんですけど。何とか伝統をつなげることができました。

林田 そしてハイジャパで優勝できて(6月のハイスクールジャパンカップで林田/宮下はダブルス連覇、林田はシングルスとの2冠)、やっと調子が戻ってきた感じでした。

宮下 早くインハイにならないかなってね(笑)。ただそのあと、インハイ直前に実業団のダンロップと練習試合をさせていただいたんですね。そのとき、G0-④でひどい内容だったんです。先生からも注意を受け、それでまたプレーをするんですけど、うまくいかない…その繰り返し。それで私、泣いちゃったんです(苦笑)。

林田 文大では、「泣く前に行動しなさい」という教えがあるんですね。自分たちでも、こんな状態では勝てるのだろうか。ミスは多い、コンビネーションもうまくかみ合わない、サービス&レシーブで終わってしまう…といいところがなく、不安で不安で。

宮下 本番まであと2日というときだったよね。

林田 だから、2人でミスして暗くなるんじゃなくて、ミスしても明るく、「あと1日(練習)できるから」と話し合って。

宮下 やりきったと思えるよう、後悔ないようにしようと。

同士対決に「どうしよう。強い! ヤバイ!」(林田)

林田 で、本番。個人戦1試合目は緊張した~

宮下 私は予想以上に緊張しなかった(笑)。

林田 私、ギャラリーの人たちがいると集中するタイプで。よりいっそうやる気が出るというか。今回は、第1シードということもあり、観てくださる方も多くて。モチベーションが上がりました。

宮下 準々決勝の和歌山信愛戦(松井玲奈/浦口華音)はファイナルだったよね。あのときは、暑くて集中力が切れそうだったけれど、ここで頑張らないとと思ったよね。昨年も2日目の16本取り、高岡西戦(浅田実那/村井琴音)でマッチ取られたりして苦しい思いをしたから、そのときのことを思い出して、気持ちを引き締めました。

林田 インハイは「苦しくて当たり前」と先生にも言われてきたし。G2-3で「まずい」とは思ったけれど、6ゲーム目を④-0で取れたのが大きかったね。でも、準決勝は同士討ち(小松﨑茉代/原島百合香)で、これもきつかった…。

宮下 校内での試合は割と勝率がよい相手だったけれど、あの日はすごい強かった! ボールも走っていたし、スマッシュも決められて…。

林田 内心、「どうしよう。強い! ヤバイ!」と思ってしまった。それと、私たちには3年生、小松﨑たちのペアには1、2年生が応援についてくれたんですが、応援も本当に真正面からぶつかり合った感じです。「いつも一緒にやっているのに…」とちょっと思ってしまうくらい(苦笑)、敵でした。でも、それができるのも文大のよさ。だからこそ、いいプレーをして「絶対に勝とう!」と思えました。

個人準決勝で林田/宮下を苦しめた小松﨑/原島の1、2年生ペアと応援団

――そして、その対決に勝って、個人の決勝戦へ。

林田 決勝前に足がつったんです。実は当日の朝、起床後に気持ちが悪くて朝ごはんも食べられず。それが決勝前に出てしまったんですよね…。腰から下がつる感じで、人生で初めてで。

宮下 それで、私が招集のとき先に行って。「(ペアは)すぐに来ます」と、話しておいて。

林田 その間にトレーナーさんに対応していただいていたんです。何とか試合を始めたのですが、サービスでトスを上げて伸びるときに足が…。でも、これで棄権したら、「人生終わりだ」と思って、棄権しないうちに、試合を終わらせないとと思って。

「林田リコ&宮下こころ対談」
Vol.1頭が真っ白になった選抜での敗戦「ひとりじゃなくて、2人で背負う」
Vol.2インハイ個人決勝を前に林田の足に異変「これで棄権したら人生終わり」だと…
Vol.3インハイ連覇への道「サービス&レシーブをしっかり」「男子の映像で勉強」
Vol.4ペア結成のきっかけは氷のう「リコちゃんと日本一になりたい! 一緒に文大に行かない?」
Vol.5日本一高校生はK-POPと大谷翔平が好き「男子だったら甲子園に行きたかった」

取材・構成◎八木陽子 写真◎阿部卓功 インハイ写真◎井出秀人、川口洋邦

注目の記事

映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』
ベースボール・マガジン社
ベースボール・マガジン社
ソフトテニス・マガジンお詫びと訂正