TOPICS
プレー&コラム
2017.03.06

本番に強くなるためにイメージトレーニングを活用しよう

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.4

関連キーワード:

五感をフル活用してイメージする

今回のテーマはイメージトレーニングです。突然ですが、今から20秒間で、スキーの滑りを想像してみてください。ハイ、1、2、3…。イメージできましたか?

周りのスキーヤーやスキー場のリフト、真っ白な銀世界は?
ザッザッザッと雪を切る音は?
エッジをきかせたり、ターンをするときの筋感覚は?
ストックをポンポンとつくときのリズムは?
ほほを伝う冷たい空気や顔に雪の粒がポツポツと当たる感覚は?
ゲレンデの麓にはレストランがありますが、そこからおいしそうな匂いは漂ってきましたか?

これらはすべて人間の五感にまつわることです。視覚・聴覚・臭覚・筋感覚・味覚ですね。最後の味覚はなかったですが、イメージトレーニングはこの五感をフル活用すると、効果が高まります。トップアスリートは、五感を使ってイメージトレーニングをしているのです。試合当日、試合会場の雰囲気、見えるもの、聞こえるもの、匂い、ボールを打つ音、感触まで想像して、試合に備えています。

試合当日のことを五感を使ってイメージできる? 写真=藤井勝治

試合当日のことを五感を使ってイメージできる? 写真=藤井勝治

好きな食べ物のことを想像するだけでお腹が……

では、なぜイメージトレーニングを行うのでしょうか。イメージトレーニングの目的は大きく分けて2つあります。

1つ目は、本番での実力発揮です。本番でいつも通りの力を出すために、頭の中で本番のリハーサルをたくさんしておきます。『試合で自分がこんないいプレーをして、こんなことをして、あんなことをして、最後にヨッシャ―で終わる』といった成功イメージをつくり、何度も繰り返すのです。そうやって、いつも通り落ち着いてプレーできるように備えます。

2つ目は、新しい技術の習得です。自分が今までやったことのない動きを身につけるとき、ただ単にカラダを動かすだけではなく、イメージも使って行うことで、より効率的に新しい技術がマスターできるようになります。

イメージするだけで効果があるのかと思われるかもしれませんが、今から大好きな食べ物を30秒間想像してみてください。「匂いは?」「音は?」「食感は?」とやっていると、お腹がグーと鳴ってきませんか(笑)。人間は、頭の中でイメージするだけで、カラダが反応するのです。

また、何かに追いかけられる夢を見て「ヤバい、捕まる」とパッと目を開いたら汗びっしょりだった、なんてことはありませんか。これは、夢というイメージを、実際に起こったことだと思い込んで、カラダが反応しているのです。

このように、頭の中でよりリアルなイメージをつくり、具体的なビジョンや絵を描くことで、競技力を上げていく、それがイメージトレーニングです。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。

注目の記事

映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』
ベースボール・マガジン社
ベースボール・マガジン社
ソフトテニス・マガジンお詫びと訂正