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韓国はチュ・オク欠場で国際大会経験者はキム・ジオンのみ、“韓国通”田中氏「裏を返せば日本はチャンスです」

韓国の女子チームで唯一の国際大会経験者であるキム・ジオン(オクチョン郡庁)

11月17日から第8回アジア選手権がいよいよスタートする。昨年の世界選手権で7種別中6種目で金メダルを獲得した韓国。2014年のアジア競技大会でも全種目で金メダルを独占した。2005年から毎年、韓国の代表予選会を取材し、韓国で“スパイ”と呼ばれるまでに韓国情報に精通しているソフトテニス・ホームページの田中氏に韓国の強さの秘密を聞いた。後編の今回は、女子チームのキム・ジオンについて。さらに田中氏が韓国のソフトテニスにのめり込んだきっかけを語ってくれた。

田中俊充
ソフトテニス・ホームページを運営。国際大会観戦歴は20年以上。2005年からは韓国の代表予選会を毎年取材している。中華台北、アジア全般のソフトテニスに精通。

ジオンは手足が長い、スケールが大きい

――韓国の女子の話も聞かせてください。やはり注目は2015世界選手権シングルス女王のキム・ジオン(オクチョン郡庁所属)でしょうか。

ジオンは4大国際大会(2014年アジア競技大会、2015年の世界選手権に出場)で、日本勢に一度も負けてないんです。まだ誰もジオンに勝てていない。
先日発表になりましたが、ベテランのチュ・オクがケガでアジア選手権に出られなくなり、女子韓国チームの代表経験者はジオンだけ。世代交代の時期とはいえ、ここまでチームが入れ替わったのは、私が見てきた中でも記憶にない。ジオンは22歳で森田(奈緒)さんと同い年。まだ若い。チュ・オクは存在感があったので、22歳の若手の肩にすべてがかかってくる。正直、韓国の女子チームが力を出すのは難しいと思います。裏を返せば、日本にとっては、大チャンスです。絶対に勝たないと。

――キム・ジオンはどんなプレーヤーなのですか?

スケールが大きいですね。セミウエスタンのグリップで、ヒジを張って打ってくる。日本だと脇が甘いと言われる打ち方です。ロビング、シュート、バック自由自在に打ってきます。バックも、韓国バックの典型的な打ち方です。前に踏み込みながら打ってくる。日本人選手とは打ち方もリズムも違うので、戦いにくいでしょう。韓国女子は重心が低く、がっちりした選手が多いですが、ジオンは腰高で、手足が長い。

――韓国女子で他に注目の選手は?

ムン・ヘギョン(NH BANK所属)を見てほしいですね。彼女は、ポスト・エーギョンです(キム・エーギョン=昨年引退した韓国のレジェンド。昨年の世界選手権ではダブルス、団体優勝)。社会人1年目で、ダブルスだけ見たのですが、将来すごい選手になると思いましたよ。エーギョンのように重心低目でがっちりしていて、腹にズシンとくるシュートを打つ。今大会はダブル後衛で出ると聞いていますが、将来的にはシングルスでも注目です。

それにしても、韓国女子からまだこんな選手が出てくるんだと驚きます。日本の競技人口(連盟登録会員は約45万人強)と比べ、韓国はすそ野が狭い(2万人程度と言われている)。アジア選手権にチュ・オクは出られませんが、その分、ジオンが伸びる可能性があります。

“スパイ”と呼ばれても、見に行く理由

――田中さんは毎年、韓国の代表予選会を観戦されています。日本で最もアジア事情に詳しいと言っても過言ではないです。韓国・中華台北のテニスに精通されたきっかけは?

バンコクでのアジア競技大会(1998年)を見たんです。韓国はユウ・ヨンドンを筆頭に、キム・キョンハン、キム・ヒースーという私が韓国の3トップと呼ぶ3大前衛がそろった大会で。日本はベストメンバーでしたが、韓国、中華台北に勝てなかった。それですごいなと思ったんです。そうしたら、韓国の予選会はもっとすごいという話を聞いて、これは一度見に行かなきゃいけないぞと(笑)。

2000年のアジア選手権の予選会を韓国まで見に行きました。それがすごかったんです。こういうテニスがあるのかと思いましたね。日本では見たことがないテニスでした。韓国の人は皆よくしてくれるのですが、半分冗談でスパイとも言われて(笑)、遠慮しながらも2005年からは毎年、予選会を見に行っています。正直、本大会よりも予選会がオモシロいです。韓国の代表予選会はつまらなかったことがないんですよ!

――韓国の予選会は一般の人は見に来ているですか?

いや、私一人と韓国の関係者だけです(笑)。

――それはすごい状況ですね(笑)。

韓国でも他の国内大会はテレビ中継も入って華やかにやりますが、予選会は非公開ではないですがシビアな場で、本当に真剣勝負です。国体は道(地域)の代表なので、少し薄い気がします。予選会は個人戦で圧倒的にオモシロい。一度、国際大会がなかった年に、大統領旗(日本の天皇皇后杯に当たる韓国最高峰の個人戦)を見に行ったのですが、これも非常にハイレベルでオモシロかった。

韓国の選手は、プロとしてソフトテニスに取り組んでいるので、練習量が圧倒的です。そのプロフェッショナルが集まって試合をやっているので、密度が濃い。技術が高い、ミスがない、試合中に一時も抜くときがない。それが韓国の強さの源だと思います。

>>ソフテニHP田中氏が語る韓国の男子チーム情報【前編】

第8回アジア選手権大会
千葉県千葉市・フクダ電子ヒルスコート
11月16日(水)開会式
17日(木)シングルス
18日(金)ダブルス、ミックスダブルス
19日(土)ダブルス
20日(日)国別対抗戦、閉会式
※スケジュールは変更の可能性あり

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写真◎川口洋邦 取材・構成◎内田麻衣子(ソフトテニス・マガジン編集部)
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