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なかなかうまくならない人はイメトレが足りないのかも

前回、イメージトレーニングには2つの目的があるとお伝えしました。一つずつ解説していきましょう。

①本番での実力発揮

脳を調べるMRIで、イメージトレーニングをしているときの脳と、実際にプレーをしているときの脳は、同じ「物を見ている場所」が働いていると分かっています。つまり、頭の中でイメージするだけで脳は「見ている」わけです。

ですから、試合の1週間前から、本番に成功するイメージを繰り返しつくっておきましょう。日曜日の試合に向けて、月曜日から「日曜日にはこうやって1日を過ごし、こういう経路で会場に行き、こういう試合内容で勝ち、ガッツポーズして帰ってくる」とイメージトレーニングを始める。すると本番は……脳の中で7回目ですね。

人間は初めての場所や人が大勢いるところでは緊張しますが、それは慣れないからです。ピアノの発表会や大事な面接でも、事前にイメージトレーニングを何回もしておけば、慣れることができます。また、会場の下見も有効です。

②新しい技術の習得

視覚には自分の見ているイメージ(背中から見ている=内的イメージ)と他人のプレーを正面から見ているイメージ(外的イメージ)があります。人間は新しい技術を習得する際、自分が実際にやっているイメージ(内的イメージ)をつくれた方が、左右のズレもなく、上達が早いと言われています。

始めはスローモーションでいいのですが、スローで正確な動きを思い浮かべ、慣れてきたら、実際のスピードでイメージをつくっていきましょう。

イメトレは自分の見ているイメージ(背中から見ている=内的イメージ)をつくれた方が習得が早いと言われている 写真=小河原友信 ※写真はイメージです

ここで、興味深い実験を紹介します。サービスなど新しい技を習得する際、ABCの3つのグループに分けます。

[A]カラダを動かすトレーニングだけ行ったグループ
[B]イメージトレーニングだけのグループ
[C]カラダのトレーニングとイメージトレーニングの両方を行ったグループ

どのグループが最も結果を出したでしょうか。両方行ったCが「A=イメトレだけ」「B=カラダを使ったトレーニング」より倍以上の成果を挙げたのはもちろんなのですが、興味深いことに、「A=イメトレだけ」と「B=カラダを使ったトレーニング」のグループにはそんなに差がありませんでした。

カラダだけ2、3時間動かしていると、何となく効果が上がったように感じますが、寝転がってイメージトレーニングしているのと、ほとんど変わらなかったのです。一方で、カラダを動かすトレーニングとイメージトレーニングを併用すれば、格段の効果が得られることが分かっています。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。
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