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【強さをつくる食事学㊼】食品添加物をどう考える?

 ソフトテニス・マガジンで長く連載していただいている岡田あき子さんの「強さをつくる食事学」。不定期ではあるが、転載してお届けする。その1回目は2025年3月27日発売の5月号で話していただいた「食品添加物」について。

 今月は食品添加物についてお話しします。この言葉を聞いたとき、皆さんはどのようなものと考えているでしょうか?

 身体に悪いのでは? と考える人もいるのかもしれません。食品衛生法では、「食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの」と定義されています。また、各添加物において成分などの規格や使用量の基準が定められています。

 つまり、多くの試験結果の元に安全性を確認されているので、基本的には私たちが食べても健康に害が無いようにされています。また、体内に残った添加物は、肝臓などで処理されて体外に排出されます。現代の私たちの食生活において、添加物を加えた食品は切っても切り離せない状態にあります。

 ベーコンやウインナーなどの加工肉、ちくわやかまぼこの練り製品、乳製品、ジュースやジャム、レトルト食品、冷凍食品、お菓子、缶詰、菓子パンや総菜パン、調味料などが加工食品であり、食べる機会も多いでしょう。

 一方、添加物が加えられていないのは野菜や果物、豆類、海藻類、小魚などの生鮮食品です(表参照)。それでは、食品添加物のメリットとデメリットに分けて説明します。

《メリット》
 食品添加物が増えたのは、食品の腐敗や食中毒のリスクを減らすために保存性を高めるという点がありました。また、品質の改良、風味、見た目を良くする、栄養価を高めるなどの点で添加物を加えています。

 例えば、アスリートがよく利用しそうな事例としては、①暑い日や1日練習の日の補食→コンビニでおにぎりやパン、ゆで卵などを利用する。手作りの長時間保存は腐敗の恐れがあるので、コンビニで購入が安全です。②成長期にカルシウム強化をしたい→牛乳やヨーグルトにカルシウムを添加した商品を利用。③レバーなどが苦手なので手軽に貧血予防→ドリンクに鉄を添加したものを利用。

《デメリット》
❶1日における食品添加物の摂取量の上限はあり、長期にわたって添加物を過剰摂取すると、健康被害に発展する可能性はあります。ただし、実際このような事例がある訳ではなく、体内への蓄積の問題なので、今すぐに大きな影響が出るということではありません。

❷人工甘味料:少量で甘味を強く感じるため、味覚がその甘味に慣れてしまう。低いカロリー摂取のつもりが必要以上に飲んだり食べたりする可能性があります。

❸脂質ゼロや糖質ゼロ、塩分カットなどの食品:体脂肪を絞る時などに利用する人もいるかもしれません。食べた時に物足りなく感じて通常より多く食べてしまいませんか? また、ある特定の調味料を減らした分だけ、別途補わないと美味しくなりません。減らしたはずが、通常入らない添加物が入る可能性があります。

❸に関しては、昔ながらの製法の味噌やドレッシング、梅干し、ジャムなどは、保存性を高めるために多くの油や塩、砂糖を加えていますが、少量で満足しませんか。

 上記でお話しした通り、食品添加物はメリット・デメリットが共存します。そして、今すぐに身体に何か起こるか⁉というものではありません。ただ、その前に考えてください。超加工食品 ※ を日常的に食べると栄養バランスが崩れやすく、アスリートとしてのパフォーマンスが崩れやすくなります。だからこそ、生鮮食品で調理されたものを積極的に摂ることで、身体のバランスを整えていくことが大切なのではないでしょうか。

           表 加工レベル別の食品の例
分類カテゴリー                  食品の例
未加工/最小限の加工     水、牛乳、卵、野菜、果物、生肉など
基本的な加工                   精白米、糖のお茶、無糖ヨーグルト、マカロニ、豆腐など
中等度の加工         うどん、中華麺、加藤ヨーグルト、乳酸菌飲料、味噌など
高度な加工(※超加工食品)清涼飲料、白パン、顆粒だし、ソーセージ、ゼリー、菓子パンなど

(参考文献「日本人の子どもにおける超加工食品の摂取量と 食事の質との関連」東京大学)

著者プロフィール
岡田あき子
体育学修士、管理栄養士。筑波大学大学院体育研究科修了後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校にて栄養士免許、2011年5月管理栄養士免許取得。フリーランスで活動中で、マンツーマン及びチームサポート、非常勤講師などや、スポーツインテリジェンスの契約栄養士として東芝姫路、三重高校のサポートにも関わっている。

文◎岡田あき子
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