今年ナショナルチームに入った植田璃音(高田商業高3年)は、3月のナショナル合宿中の取材、上松俊貴(NTT西日本)との対談でこう話していた。
「自分がソフトテニスを始めて間もない頃、初めて見た試合は長江さんが天皇杯を優勝された試合でした。小1ぐらいだったと思いますが、その方と同じナショナルチームでテニスができるというのは信じられないことで、本当にうれしいです」
そして、全日本シングルスでは準々決勝で岩田皓平(日本体育大)と対戦。終盤まで一進一退の展開で、ファイナルも岩田が先にマッチポイントを握ったが、最後は植田が粘り、⑧-6とした。
「高校入学時に、3年で全日本シングルス3位を目標としてきたので、あきらめずに戦えました。まだ上の方たちとの差を感じますが、3位に入れた喜びはあります」と植田。
もう一方の準決勝は橋場柊一郎(法政大)が長江光一(NTT西日本)を下して、初の決勝戦に進出した。37歳の長江も久々に上位に食い込んだ。近年、長江はケガが多く、身体との戦いだったが、今回は最後まで戦えた。
「雨が降って、若い選手の持ち味が消されて、どちらかというとテクニック重視になりました。自分としてはゆっくりとした展開に持っていきたいので、あとはどこでツイストを使うかどうか」と長江。
3位表彰に臨んだ植田は雲の上だった人と同じ表彰式に立ち、満面の笑みを浮かべた。もし、どこかで対戦できれば、植田にとっても、さらに上にいくための何かをつかめるのではないだろうか。
植田璃音(高田商業高)
長江光一(NTT西日本)
文◎福田達 写真◎上野弘明