
【コンディショニング】睡眠で、あなたのコンディションをチェック!
ソフトテニス・マガジン7月号P36/強い選手になるために重要なコンディショニング
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疲労回復に睡眠が重要であることは誰もが疑うところはないと思います。スポーツにとっても十分な睡眠が重要であることは言わずもがなです。
スーパースター、大谷翔平選手は睡眠をとても重視していることでも有名です。特注ベッドや枕はもちろんのこと、睡眠トラッカーで睡眠の質を可視化し分析。通常は練習合間の昼寝も含め10~12時間の睡眠を日課にしているそうで、休日は最大14時間眠るとも言われています。また、試合の時間帯によって睡眠時間を調整しており、翌日が午前中の試合の場合は夜7時頃には入眠するそうです。大谷選手クラスのアスリートのエネルギー消費量であれば、これだけの睡眠がむしろ必要であるという合理性のもとでの設定なのかもしれません。ここまでの管理はなかなか真似できることではありませんが、スポーツ選手にとっての理想の睡眠として参考にできる点は大いにあると思います。
睡眠のサイクルは浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を約90分サイクルで繰り返しています。良質な睡眠サイクルから考えると、90分の倍数時間で起床すると目覚めが良い朝を迎えられます。
コンディショニングの観点から、睡眠の最も重要な点は、入眠直後の最も深いノンレム睡眠時に訪れる成長ホルモン分泌によるリカバリーです。この時間は特に成長ホルモンの分泌量が多いため「黄金の90分」とも言われています。成長ホルモンは試合やトレーニングで傷ついた筋線維の修復とタンパク質の合成を促進します。免疫機能の強化も行われるため、高強度の試合やトレーニングを継続的に実施するにはとても重要です。
また、睡眠中は記憶の整理が行われます。学習等による記憶はもちろん、練習やトレーニングで経験した短期記憶を長期記憶に変換することで記憶の定着、ひいては技術の定着に寄与します。
スタンフォード大学が実施したバスケットボール選手を対象にした研究では、睡眠時間を8時間から10時間に増やしたところ、スプリント速度が9%向上し、フリースローの成功率が11%増加したというものがありますが、上述のような要因が影響した可能性があります。
入眠直後の「黄金の90分」の質をできるだけ高めるため、すぐにできることはあります。
❶睡眠の1~2時間前に入浴し、深部体温を高めてから入眠しましょう。深部体温が下がり始めるころに眠りが誘発されるので、そのタイミングで入眠できれば深い眠りが約束されるでしょう。
❷スマホやテレビ等、ブルーライトを発生させる器機は寝る前に使わないようにしましょう。器機の画面から発するブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。特にスマホは寝る間際まで触ってしまいがちです。寝室まで持ち込まないようにしましょう。
❸横になったら腹式呼吸で副交感神経を優位にし、リラックスしましょう。鼻から息を吸い、口からゆっくり吐くという簡単なものでOKです。あまりネガティブなことを考えないようにすることもリラックスのポイントです。
それでも、緊張や気持ちの高ぶりでどうしても眠れないということはあるかもしれません。そんな時は目をつむってゆっくりしているだけでも身体は休まります。1日程度の睡眠不足であればパフォーマンスに大きく影響することはありませんので、過剰にナーバスになりすぎないようにしましょう。むしろ割り切って臨んだ方が良い結果になるかもしれませんね!
東門達也(とうもん・たつや)
早稲田大学スポーツ科学部卒。保有資格:JATI-ATI、JSPOスポーツプログラマー。2024年スポーツインテリジェンス入社。Body Assist西宮でパーソナルトレーニング指導、スポーツ系専門学校での講師、ソフトテニスの集団トレーニング指導を務める。
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