
【強さをつくる食事学】暑さに負けない!練習や試合中の水分補給と熱中症対策
強さをつくる食事学◎第49回/ソフトテニス・マガジン7月号P37

最近の日本は、ゴールデンウィーク頃から一気に暑くなり、夏日(25℃以上)になる日が増えています。そして、6月中旬から7月中旬にかけて梅雨に入ると、いったん暑さが落ち着きますが、梅雨が明けると急に蒸し暑くなります。このように気温が大きく変化する時期は、熱中症がとても起こりやすいのです。したがって外部でも内部でも、水分補給はとても大切になります。25℃以上での練習時は、1時間で1〜1.5リットルの汗をかきます。体重の2〜3%の水分が減るだけでパフォーマンスが落ち、5%で脱水症状、10%も失うと意識がもうろうとし、命の危険があることもあります(表1参照)。
基本的には、汗の量と同じくらいの水分を補給することが理想ですが、1時間で1リットル以上飲むのは体にも負担がかかります。目安としては、発汗量の80%を補えると良いですね。運動前後と運動中に分けて、こまめに飲みましょう。
まず練習前は、1時間~30分前に250~500mlを少しずつ飲むことが効果的。練習中は、コップ1杯(150~250ml)くらいを15〜20分ごとにが目安です。練習後は、自分の喉の渇きなどに合わせて水分を調整しましょう。体重を練習前後で測って、減った分が補えていない水分と考えると良いです。
次に、「何を飲むか」も大事です。汗のほとんど(約99%)は水分ですが、残りの1%はナトリウムなどのミネラルです。そのため、水だけではなく、ミネラルを含んだスポーツドリンクがおすすめです。そこで、塩分0.1〜0.2%のものが良いとされています。また、30分以上の練習をするときは、糖分が含まれたドリンクでエネルギー補給もできるとさらに◎。ただし、糖分が多すぎると逆に吸収が悪くなるため、糖分は5%以下(2.5%程度が理想)のものを選びましょう。夏場は優先順位が①水分、②塩分、③糖分という風に考えてください。
ドリンクの温度もポイントです。5~15℃くらいの冷たいと感じる温度だと、胃からの通過が早く、吸収も良くなります。最近では「アイススラリー」という、シャーベット状のスポーツドリンクも注目されていて、身体を中から効率よく冷やす方法として使われています。
汗の量は人によってかなり違います。トレーニングの慣れ具合や体の暑さへの順応でも変わります。日ごろから練習前後の体重差や、練習後の尿の色(濃いと水分不足のサイン)を見るなどして、自分の水分バランスをチェックしておくと良いですね。「のどが渇いた」と感じる前に、こまめに水分をとることがとても大事です。
生活習慣も熱中症予防に関係アリ!
水分だけでなく、日々の食事や生活習慣も、熱中症の予防に大きく関わっています。たとえば、朝食を抜くと、水分や塩分、エネルギーも不足しがちになります。その結果、熱中症になりやすくなります。朝食にはご飯とみそ汁といった和食の組み合わせが、水分・塩分をバランスよくとれておすすめです。また、睡眠もとても大事です。寝不足や、ぐっすり眠れなかった日は、体に疲れが残っていて、熱中症のリスクが高まります。しっかり眠って、疲れをとることを忘れないようにしましょう。
そして、体調が良くないときは、無理に練習をしないこと。具合が悪い日は、体が暑さに対応しきれず、思わぬトラブルにつながることもあります。
最後に、このように、水分補給の方法やタイミング、飲み物の選び方、そして普段の生活習慣を整えることが、熱中症を防ぐポイントになります。暑い季節でも安全に、そしてしっかりと練習ができるように、自分の体調としっかり向き合ってみてください。
著者プロフィール
岡田あき子
体育学修士、管理栄養士。筑波大学大学院体育研究科修了後、大阪市立環境科学研究所附
設栄養専門学校にて栄養士免許、2011年5月管理栄養士免許取得。フリーランスで活動中
で、マンツーマン及びチームサポート、非常勤講師などや、スポーツインテリジェンスの
契約栄養士として東芝姫路、三重高校のサポートにも関わっている。