山口県の下関工科は総体予選で準優勝して、開催県枠として史上初めてインターハイの団体戦に出場した。初戦は神奈川県の横浜創英、未知の相手だった。
下関工科のある下関市はジュニアも最近できたばかりで、中学生から始めた選手がほとんどだ。その経験差をコツコツと積み上げながら前進してきたチームで、インターハイ出場を決めた後のプレ大会、中国大会も勝てず、不安を持ちながら本番を迎えた。
初戦の1番、林田光将/中原和志からは緊張感が伝わってくる。明らかに本来の動きではなかったが、ベンチの上に集まった多くの観客からの声援によって、少しずつだが2人もほぐれてきたが、最後はG1-④で敗れる。しかし、2番の田中樹龍/古谷勇人がその場の雰囲気を一変させてくれた。
「最初の途中から応援がすごくて、そこと一致団結していけば、いけるんじゃないかと思っていました。もちろん緊張はありましたが、相手も一緒なので、先に仕掛けた方が気は楽かな。攻めていきました」と古谷主将。
躊躇しない思いきりの良いプレーが観客の声援と拍手で、前に進む。G④-1として、タイに戻した。
3番の長嶺獅人/天野訊はスロースターターだが、追い上げる力に長けている。総体の1回戦の3番で0-3からまくった試合がなければインターハイの舞台に立てなかった。今回も先行されたが、少しずつ食らいついて、2-3としたが、最後は一歩及ばなかった。
「最後は悔しさの方が大きいと思いますが、2番がベストゲームをしてくれましたし、勝てるチャンスがありました。1、2年生も試合を見られたので、これは来年につながったなと思います」と寺田光希監督。
「このコートをよく知っているので、風の影響は分かっていましたが、最終的には相手の方が上手く風を使ったと思います。高校に入ってから成長していけました。寺田先生、橋本先生から技術指導からテニスの楽しさまで教えてもらって、すごく感謝しています。1、2年生には貴重な経験になるので、来年にも期待したいです」と古谷主将。卒業後は実業団でプレーするのが目標だと言う。
普段通りのプレーをする難しさを感じさせられたが、古谷主将の躊躇しない思いきりの良いスマッシュが何よりも印象に残った。あれが本番で見せられれば勝てるのではないか。簡単ではないが、後輩たちの内面には焼きつけられたはずだ。
1番の後衛、林田
1番の前衛、中原
記念すべき初戦の挨拶