「野菜はしっかり食べよう」――これはよく聞く言葉。最近はブロッコリーも人気ですが、まだまだ多くの人が「キャベツたっぷりのサラダ=野菜はOK!」と思いがち。サラダに使われている多くの野菜は「淡色野菜」が中心です。地味だけど、実はとても働き者の淡色野菜。今回はその“縁の下の力持ち”としての魅力に迫ります!淡色野菜とは、見た目の色が薄く、断面も白っぽい野菜たちのこと。たとえば、キャベツ・レタス・きゅうり・大根・玉ねぎ・なす・ごぼう・セロリなどがこれにあたります。緑黄色野菜と違って、色は目立たないが、身体の調子を整えるのに欠かせない、“名脇役”の存在です。
淡色野菜がくれる4つのチカラ
1.免疫力アップに役立つビタミンC
ビタミンCは緑黄色野菜にも含まれていますが、キャベツや大根などの淡色野菜にもたっぷり。両方の野菜を組み合わせることで、効率よく補うことができます。これは、風邪の予防や疲労回復を助ける栄養素。部活で体力を使い、免疫が落ちやすい中高生には欠かせません。
2.食物繊維で腸内スッキリ
便秘がちだったり、お腹が張りやすかったりする人はいませんか?ごぼうやキャベツ、大根に含まれる食物繊維は、腸の動きをサポートして、便通を整えてくれます。前回の緑黄色野菜でも登場した腸内環境が整うと、栄養の吸収もスムーズに。
また、食物繊維には2つのタイプがあります。
・不溶性食物繊維(ごぼう・たけのこなど):腸のぜん動運動を促し、便のカサを増やします。
・水溶性食物繊維(キャベツ・大根など):糖質や脂質の吸収をゆるやかにし、体脂肪がつきにくくなる効果も。
3.カリウムで筋肉の動きをサポート
カリウムは、ナトリウム(塩分)を体の外に出す働きがあり、汗をよくかく夏場には特に大切。また、筋肉の収縮や動きにも関係しているため、プレーの質にも関わります。
4.カルシウム&マグネシウムで丈夫なカラダに
カルシウムは骨や歯をつくる栄養素。10代で成長期の皆さんは、十分にとらないと、骨密度が低くなったり、疲労骨折のリスクも上がります。マグネシウムは筋肉や神経の働きをサポートし、ケガ予防やパフォーマンス維持に役立ちます。
サラダだけじゃ足りない?
私たちが1日に摂る野菜の量は、サラダだけで不十分なことが多いです。なぜなら、淡色野菜は水分が多く、かさがある割に栄養素は少なめ。それでは、どうすればしっかり摂れるでしょうか?
おすすめは、
・汁物(味噌汁やスープ)
・炒め物や煮物
などに取り入れること。汁ごと食べることで、水に溶けやすいビタミンCなども無駄なく摂れます。
たとえば夏野菜を入れた味噌汁はこんな場面に有効です。
朝食:ゴボウ+玉ねぎ→便通促進、熱中症予防
夕食:大根やキャベツなど→消化促進、疲労回復
季節によって選ぼう
野菜にも「季節ごとの役割」があることを知っていましたか?
夏:レタス・きゅうり→水分が多くて、体を冷やす作用あり。熱中症予防にも◎
冬:ごぼう・れんこん・人参 → 身体を温める効果があり、寒い季節にぴったり
つまり、季節に合った野菜を取り入れることで、自然に体調も整えられるのです。
どれくらい食べたらいいの?
厚生労働省では、1日の野菜摂取量の目標を350g以上としています。うち、淡色野菜は約230gが目安。キャベツ1枚(50g)
きゅうり1本(100g)
大根おろし おたま1杯(80g)
これで約230gに近づきますが、1食でドカンと食べる必要はありません。毎食に分けてがポイントです。汁物や小鉢を1品または主菜の付け合せや一緒に合わせて調理するという工夫をするのが良いですね。
緑黄色野菜と淡色野菜をまんべんなく食べることで、栄養バランスがグッと良くなります。毎日の積み重ねが、練習や試合での体力・集中力・ケガ予防につながります。「地味だから」「栄養なさそう」なんて思わず、淡色野菜こそ強い体をつくる“隠れた主役”として、しっかり食べていきましょう!
著者プロフィール
岡田あき子
体育学修士、管理栄養士。筑波大学大学院体育研究科修了後、大阪市立環境科学研究所附
設栄養専門学校にて栄養士免許、2011年5月管理栄養士免許取得。フリーランスで活動中
で、マンツーマン及びチームサポート、非常勤講師などや、スポーツインテリジェンスの
契約栄養士として東芝姫路、三重高校のサポートにも関わっている。