第80回天皇賜杯・皇后賜杯全日本選手権大会が11月6日、東京都の有明テニスの森公園で開幕した。182ペアがエントリーした女子(皇后杯)は、64本決めの2回戦まで、全118試合の熱戦が繰り広げられた。
皇后杯の魅力は、世代の離れたペア同士の対戦があり、とくに大会序盤は番狂わせも起きやすいこと。たとえば大学生や社会人にとっては、中学生や高校生が果敢に向かってくる状況は、やりづらいことこの上ないだろう。だが、どんな難敵も下していかない限り、群雄割拠の皇后杯では上位進出、ましてや頂点にはたどり着けない。
そんな中、中体連代表として、8月の全国中学校大会で個人戦の4強を占めた中学生4ペアが出場した。全中3位の北見莉子/椎名梨香子(横芝中)は社会人ペアに食らいつきながら、G3―⑤で惜敗したが、同じく全中3位で団体戦Vメンバーの村山由奈/土持風華(昇陽中)が、高校生ペアをファイナルの末に下すなど、他の3ペアはそれぞれ1回戦を突破した。
なかでも快進撃を見せたのは、全中の決勝で激突した大武姫菜/大武夢菜(西袋中)、鍜冶田芽依/髙田美滴(奈良まほろば)だ。ともに初戦突破だけにとどまらなかった。
鍜冶田/髙田は1回戦で高校生ペアに快勝すると、2回戦も社会人・大学生ペアにG⑤-3で快勝する。ダブル後衛の2人だが、粘ってなんとか勝利を拾ったというわけではない。髙田が「去年は1試合勝てたけれど、2試合目で負けちゃって、今年はJOCがダメだったから、2人でまた一から作り直して、コミュニケーションを取りながら挑みました」と話すように、果敢な攻めで序盤から主導権を握った。
追い上げられた第6、7ゲーム以外は、ほとんど相手を寄せつけなかった。鍜冶田も「1回戦がコロシアムで緊張しましたが、いつも通りに楽しんで向かっていこうと2人で話していたので、それができてよかったです」と満足そうな表情を浮かべる。2人はとびきりの笑顔で「今年はベスト4を目指しています」と声をそろえた。
今大会初出場の全中チャンピオン・大武姫/大武菜も勢いがあった。初戦で高校生の国スポ出場ペアにストレートで完勝。大学生と対戦した2回戦も、硬軟おりまぜた息の合ったプレーで、相手に思うようなプレーをさせず、G⑤-2とほとんど危なげなかった。「2日目に残るのが目標だった」という大武夢は、「普段戦えない人ばかりで、すごく楽しかったし、自分の力がどこまで通用するかを試す、いい機会になりました」と語り、大武姫も「点を取られても焦ったりせず、次のポイントの取り方を考えたりして、うまく切り替えながらプレーできました」と胸を張った。
明日の3回戦からはさらにハイレベルな相手との対戦が待っている。中学生の快進撃はどこまで
続くか。
持ち味を出した鍜冶田芽依/髙田美滴(奈良まほろば)
