
【丸中大明インタビュー後編】不完全燃焼だった日本代表。挫折を乗り越えたことは今後の生活で必ずチカラになってくれる!
ソフトテニス・マガジン2025年6月号

※前回からの続き
――いろいろな方とペアを組まれてきました。
丸中 高校1年の秋から大学4年まで鈴木(琢巳)でした。彼とペアを組めたのがここまで成績を残せたと思います。最初はダブル後衛でしたが、同期の船水/九島や先輩方にも負け続けたので、どちらかが前に出てみたり、たまにダブルフォワードもしてみました。陣形の変化を加えることで少しずつ戦術の幅が広がり、カットサービスも取り入れました。元々は腰をしっかり落としてラケットを振り回す後衛でしたが、ネットプレーの選択肢が生まれ、成績を残すことができたのだと思います。鈴木と組めて、私のプレースタイルができました。
入社後は原(侑輝)さんと組むことに。原さんは前衛でしたが、私よりもはるかにストロークのポイント力があるので、いつの間にか私が前衛している場面もありました(笑)。2年目から長江さんと組んで、徹底的にダブルフォワードとなりました。今までを考えると後衛も前衛も、またダブルフォワードとすべてのポジションでプレーできたのは私の強みなのかなと思います。
――東北高校だから、そういうこともできたのではないですか。
丸中 中津川先生の指導ですね。今振り返ると戦術面のアドバイスがほとんどだったかと思います。ストロークを打つための身体の使い方やラケットの振り方などの技術的なアドバイスはあまりされてないです。戦術を伝えておいて、後はそれを再現するために選手たちに任せることが、自主性を高めたと思います。特に個別の練習が多くなる大学生活ではそれがかなり活きました。
――2019年の日本代表に、鈴木さんと一緒に選ばれたのは大きなことです。
丸中 個人的にすごくうれしかったです。実業団でお互いの所属が違う所でしたが、私は鈴木の成績をかなり気にしていました(笑)。約7年間ペアを組んでくれた鈴木と一緒に日本代表として活動できたのは良い思いをさせてくれましたね。
――世界王者になりましたが、実際には大会でケガをされて、悔しさも残りました。
丸中 2019年は会場入りしてウォーミングアップ中に捻挫してしまい、その前年のアジア大会も私の簡単なミスで取り組んできた成果を発揮することができませんでした。2年連続推薦で選んでいただいたにも関わらず、不甲斐ない姿を見せてしまったことに情けなく感じましたね。なので、翌年からは代表から予選会に優勝し、日本代表の内定を貰わない限りは推薦していただいても辞退する予定でした。
――最初の話していただいたケガも含めて、そういう状況と向き合った競技人生はこれからも役立ちますね。
丸中 なんでこんなに苦しい思いをしなければならないんだと考えていた時期が非常に多くありました(笑)。まだまだ勉強不足ですが、人一倍に苦労してきましたし、挫折を乗り越えたことは今後の生活で必ずチカラになってくれると思います。ソフトテニスで本当に多くのことを学ばせていただきました。
――講習会など子供たちも指導されていると思いますが、印象に残ることはありますか。
丸中 ソフトテニスが上手くなるために技術的な指導をしていくことが講習会の意義になりますが、まずは生徒の皆がやりがいを持って楽しくプレーする、今後もソフトテニスを続けてくれるような姿を見れることが印象に残りますね。これは私の過去の話になりますが自分が高校生の時、東日本大震災の復興支援でナショナルチームの選手たちが仙台に来てくれました。大変な状況でしたがソフトテニス・マガジンでずっと見ていた選手が目の前で見れたことに感動し、もっと上手くなって今度は私が元気や夢を与える立場になりたいと目標が新たにできました。現在はSNSが普及しオンラインでトップ選手のプレーをスマートフォンで手軽に見れる状況です。ですが洗練されたトップレベルの技術や身体能力、また競技に没頭している姿を現地で見てほしいという願いがあります。特にこれから未来を担うジュニアや中学生に対して、そういう取り組みができればと考えています。ソフトテニスを上手くなることも非常に大切ですが、まずはソフトテニスを好きになること、夢中になれることが一番の成長要因であるのを学んだので、これからも意識していきたいと思います。
まるなか・たいめい●1993年9月5日生まれ。宮城県出身。JST仙台(小2)→宮城野中→東北高→中央大。170cm。AB型。右利き・後衛。2010年全日本高校選抜優勝。2011年インターハイ団体優勝。2017・2018年全日本社会人優勝(/長江光一)。2016~2024年日本リーグ・STリーグ優勝。2018年全日本インドア優勝(/長江光一)/2018年アジア大会団体銀メダル。2019年世界選手権団体金メダル。

高校3年時はインターハイ団体優勝を成し遂げた