
【インカレ2025】細田美帆/髙橋ひかる(日本体育大)、準決勝で惜敗も、本来の姿を取り戻して好勝負に
インカレ2025(女子選手権最終日)◎89月2日/千葉県・フクダ電子ヒルスコート

インカレ選手権は9月1日から始まったが、男子が567ペア、女子は352ペアがエントリー。これほどのビッグドローは他にあるのだろうか。初日はそれぞれ多くの会場に分かれての対戦になった。
女子の2日目はフクダ電子ヒルスコートで始まったが、時折の強い風が多くの選手たちを悩ませた。準決勝で前田梨緒/中谷さくら(明治大)と大接戦を演じたが、敗れて3位となった細田美帆/髙橋ひかる(日本体育大)も朝から本調子ではなかった。同じ日本体育大対決となった準々決勝の松岡琴美/向山せら戦は劣勢の時間帯も多かったがG⑤―3と勝利。その前の寺澤佑珠妃/相原愛(國學院大)はファイナルで辛勝などと、長い試合で体力も削られていく。
ただ、準決勝になると、その様子は一変した。細田と髙橋は準決勝までのパフォーマンスでは厳しいのは本人たちが一番分かっていて、試合前には「やるべきことだけをやろう」(細田)と確認したと言う。細田は男子のトップ選手のように多彩で、陣形の変化にも対応できる。強風の風上なら思いきったテニスが可能なはずで、それで負けたら仕方ないと開き直り、結果、この日のベストゲームにできた。
4年生の細田は過去の選手権は16本止まりで、体力面で思うようにいかない経験から、インカレを見据えてトレーニングを重視した練習を組んできた。最後のインカレだから、思う存分の力を出して終わりたいと思っていた。
「実際には最後の方は足が動かないこともありましたが、そこは気持ちでカバーするしかないと」(細田)
ただ、序盤はG1-1からの3ゲーム目、ミスが重なって、G1-2とされる。さらに4ゲーム目は一方的に0-④とされて、G1-3と思うような展開ではなかったが、「向かっていく立場であることは変わりないのと、こちらのミスだったのでやり直すだけで、嫌な感じはなかったです」と高橋。
5ゲーム目、3-0から3-3とされたが踏ん張って⑤―3とする。ここから一気に流れをつかんだ。髙橋の思いきりの良いスマッシュなど、ペア本来の姿だった。さらに2ゲームを連取して、G4-3としたが、そこからファイナルにもつれる。
「あのあたりは、戦略的にもう少しできたのではないかと言われて。ほんのわずかなことなのですが、相手に流れを取り戻されてしまった」と細田。
ファイナルは⑦―2と前田/中谷に軍配が上がった。終盤は前田/中谷からも緊張感が漂ったが、負けたくない気持ちはこちらの方が大きかったか。覚悟を決めて、自分たちが取り組んできたテニスを出そうとして、攻め合った。だから、それを返球するのか、そこから決めるのかというプレーもたくさん見られて、素晴らしい内容だった。この試合を経験した前田/中谷は、直後の決勝戦にも好影響を与えたのではないだろうか。

髙橋のスマッシュは試合の雰囲気を一変させる

準決勝でようやく力を見せた細田/髙橋