ソフトテニスマガジン 連載コラム 【キャリアデザイン入門~競技から学べること】第7回◎社会人基礎力の獲得
今回は、ソフトテニスが「社会人基礎力」を育むことができるスポーツであることを説明します。社会人基礎力とは、2006年に経済産業省が発表した、社会に出ていく若者が身につけておいてほし「基礎的な能力」を整理したものです。3つの能力と12の能力要素で構成されています。
下図のように、3つの能力とは、「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」です。「前に踏み出す力」には、「主体性、働きかけ力、実行力」の3つの能力要素が含まれます。「考え抜く力」には、「課題発見力、計画力、創造力」の3つが、「チームで働く力」には、「発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力」のつが含まれます。この12の要素が、社会人になる準備として、身につけたい基礎力です。

社会人基礎力は、中高生や大学生のキャリア教育の基盤として全国的に活用されており、企業の採用や育成でも重視されています。実は、この12の能力要素について、現在の30代後半以上の人は、あまり学校では教育を受けていません。昔の学校教育は、暗記重視の詰め込み型で、「主体性」「働きかけ力」「課題発見力」「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「ストレスコントロール力」などは、学ぶ機会が多くなかったのです。
過去の詰め込み教育が、「IT化が進んだグローバル競争の時代」に合っていないということで、最近の学校カリキュラムは大きく変わっています。小学校から大学まで、プレゼンテーション(主体
性、働きかけ力、発信力などに対応)、会議での合意形成(発信力、傾聴力、柔軟性などに対応)、問題解決(課題発見力や傾聴力などに対応)といったプログラムが充実してきています。「アクティブラーニング」(主体的、対話的で深い学習)を取り入れる学校も増えています。
ソフトテニスはこの12の能力要素を自然に育てる構造を持つ競技だと言えます。日常的な練習や試合を通じて、主体性・周囲への働きかけ力・実行力が身につきます。課題発見力・計画力・創造力は、ソフトテニス特有の「戦術性」によって養われます。相手の球質・位置・風向きなどを瞬時に読み、どのコースを狙うかを判断することは、まさに情況把握・課題発見です。練習でも、自分の弱点を把握し、フォーム改善やメニューを考えることは、課題発見力や柔軟な発想力(創造力)を磨きます。
チームワークの6要素については、ソフトテニスが最も得意とする領域です。ペア競技であるため、日常的に「相手の言葉を聴く」「自分の考えを伝える」「役割を調整する」といった協働が必須です。 また、チームとして勝つには、上級生・下級生・指導者・保護者など、多世代との協力が必要で、社会の縮図とも言える環境で成長します。試合のプレッシャーに打ち勝つことで、ストレスコントロール力も身につくでしょう。
以上のように、ソフトテニスは社会人基礎力を身につけやすい競技です。子どもたちが競技を通じて得た経験は、進学や就職の場面で確かな強みになります。保護者や指導者の皆さまには、ソフトテニスが生涯にわたるキャリア形成に役立つことを理解し、子どもたちの成長を支えていただければと思います。
<プロフィール>
山岸慎司 やまぎし・しんじ
日本ソフトテニス連盟国際委員、スポーツ庁管轄アスリートキャリアコーディネーター、国家資格キャリアコンサルタント。企業研修講師および東京経済大学講師(キャリア関連講座)。東京大学農学部修士、ロンドン大学経営学修士。現在、法政大学キャリアデザイン学部大学院でソフトテニス選手のキャリア開発支援を研究中。著書『成功する就活の教科書』(中央経済社)他。ポッドキャスト番組『2030年のキャリア戦略』毎週木曜配信。




























