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プレー&コラム
2018.02.05

ピンチに強い心はつくれる。予想外への準備で不安を減らそう

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.43  講師◎大儀見浩介

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試合で絶体絶命のピンチ……。そんなとき、もう負けたとあきらめちゃダメですよ。できることはまだまだあります。ピンチをチャンスにする方法とは?

ピンチ=予想外の事態

日本はリオ・オリンピックで史上最多となる41個のメダルを獲得しました。卓球やレスリング、バドミントンなどで印象的だったように、絶体絶命のピンチから大逆転でメダルを手にした選手が多かったように思います。

ではなぜ、「逆転」できたのでしょうか。選手たちが相手のミスを見逃さず、冷静にそのミスをものにしていったから、つまり今すべきことをやり抜いた結果です。選手たちはそれを「あきらめない気持ち」と表現していました。

ところで、一昔前の日本だったら、ああいう場面で「根性だ!」とか「気合でいけ!」とか言うだけでした。ですが、必死に向かってくるだけの相手は、敵にとって脅威でも何でもないんです。焦っている選手はミスも多いですし、かわされて終わりです。逆転に成功した選手たちは、ピンチのときも気合を入れ過ぎず、興奮しすぎず、対戦相手のミスを確実にものにすることができていたのではないでしょうか。

さて、今回のテーマは『ピンチに強い心をつくる』です。中高生でも、オリンピックで選手たちが見せたような、逆境に強いメンタルをつくることはできます。

ここで、ソフトテニスで選手が試合中、ピンチに陥る状況を考えてみましょう。ピンチ=不測の事態、つまり予想していないことが起きたときです。

●試合中に起こる予想外のこと
・ケガ
・自分のミス
・相手のプレー
・自分の考え、内面から発生する不安
・外的要因(匂い、音楽)

予想外のことが起きると、不安や危惧、気兼ねが生まれます。これは自信の反対で、プレーに悪い影響を及ぼしますから、そのためにも予想外を少しでも減らしていくのが大事です。

『こういうことが起こるかもしれない⇒こういうことも考えられる⇒こうなるときはこうする』という対処法や対応策を準備しておくのです。メンタルトレーニングの世界では、予想外への対応策をソリューションバンクと言います。

※ソリューションバンク=英語でソリューション(solution)は解決策、バンク(bank)は銀行や貯蔵庫の意味。何かが起きたときの解決策を頭の中にストックしておくこと。

プレッシャーと不安は違う

そして、プレッシャーと不安の違いも知っておくといいでしょう。プレッシャーは必ずかかるものだと思ってください。テニスの場合、まず相手というプレッシャーがあり、天候、スコア、観衆、期待、メディアもプレッシャーの要因となります。

一方、不安は主に内面から発生するものです。匂いや音楽などの外的要因から不安を連想することもありますが、基本的に不安は自分でつくり出していることが多いのです。試合中「次ミスしたらどうしよう」となることがありますよね? こういう場合は、不安になるような情報を集め過ぎ、考え過ぎ、思い出しすぎなのです。

不安に襲われたら、頭の中をシンプルにして、いまできること、いますべきことを、まずは明確にします。ゲームのプランや課題の確認ですね。

セルフトークを入れるのもいいでしょう。「次、次」「準備」のように普段使っている言葉や、「前へ」「ゆっくり」「シンプル」のように、具体的な言葉がいいです。「ミスしない」など打ち消しやミスを連想する言葉は避けましょう。

さらに、ルーティン、両肩の筋弛緩法、ストレッチ、セルフマッサージも気持ちを切り換える効果があります。自分自身の呼吸に意識を向けていくことも大切です。不安がよぎったとき、「いま自分はどんな呼吸をしているのか?」を確認し、深呼吸をすることも効果的だと考えられます。人間はマイナスイメージがよぎっていると、息が浅くなったり、ふと呼吸を止めていたりすることがありますが、深呼吸は以前お伝えした通り、まず口からすぅーっと吐き出してから、気持ちよく鼻から吸って、口からゆっくり気持ちよく吐き出しましょう。

こういった気持ちの切り換えを、普段のトレーニングから習慣化しておくといいですね。

※筋弛緩法=わざと筋肉に緊張状態をつくってから、スーッと力を抜くリラックス法。手順は「①両肩にグッと力を入れ、鼻からゆっくり息を吸って止める。②口からスーッと吐くと同時に力を抜く。③もう両肩にグッと力を入れて鼻から息を吸って緊張を感じてからスーッーと吐く」を2回。時間があるときは右手、左手、両足も行う。試合中は立ったまま、サービス前などちょっとした「間」で行う。イスに座りながらや、寝転がりながら行うと、よりリラックスを感じられる。


著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。