
私の記憶⦿インターハイ編 第5回・成田悠/2006~2008年インターハイ女子個人・団体
近畿インターハイ女子個人・団体戦◎2006年8月1~8日/大阪府・マリンテニスパーク北村

いよいよ山口インターハイ! 夏の大一番に挑む高校生への応援企画として、元トップ選手にご自身のインターハイを振り返っていただく。第5回は、元実業団選手で現在はスポーツアナリストとしてさまざまなスポーツの分析に携わる成田悠さん。今すぐ実践できる分析法も教えていただいた。
1年生にもチャンスがある
新潟県の巻高校1年生から3年間、団体戦と個人戦に出場しましたが、1番印象に残っているのは、1年生の時です。初めてのインターハイで、どんな大会なのかも分からず出場して、人の多さと、あの独特な雰囲気に圧倒されました。そんな中で見た、女子団体決勝が忘れられません。2006年の女子団体決勝は、就実(岡山)と松山商(愛媛)が三番勝負にもつれたのですが、そこで就実の優勝を決めたのが、同じ1年生の弓野加佳選手でした。まだ高校に入って数カ月の1年生でも、ここまで戦えるんだと、衝撃を受けました。この日から、弓野選手を勝手にライバル認定して(笑)、「この人に勝たなければ全国では勝てない、日本一にはなれない」と目標にしました。
その後、2年の高校選抜で弓野選手と対戦する機会があり勝つことができたのですが、雲の上の存在だった弓野選手に勝って「やっとここに立てた」と感じたのを覚えています。「日本一になりたい!」という目標を掲げていた私にとって、初めて、日本のトップがリアルに見えて、自信になった瞬間でした。
相手の得意と苦手、パターンをチェック!
全国の舞台では、初めて戦う相手がほとんどだと思います。でも、もし、相手の試合を見る機会があれば、それは大チャンス! 会場でも、映像でも、ただ見るのではなく、得意と苦手を見極める意識を持って見ていると、「こういう時にポーチに出る」「さっきこうしたから、次はこうしている」と相手の特徴が分かるはずです。さらに、一度とられたらコースを変えるのか、もう一度同じところに打てるのか、というところまで分かっていれば、心理戦でもリードできると思います。
相手を見る機会がなくても、コートの特徴(砂の量や芝の長さ)を確かめたり、陽の入り方や風の方向をチェックすることはできます。インターハイは下級生が勝ち上がることも多く、誰にでもチャンスがあります。全国のレベルを知るタイミングでもあるインターハイで、みなさんがベストを尽くせますように!
PROFILE
なりた・はるか◎1990年11月6日生まれ、34歳。小学生でソフトテニスを始め、明治大法学部卒業後、アキムとアドマテックスで5年プレー。皇后杯では巻高3年時に8強、アドマテックス1年目の2016年に4強(ともに/小林優美)。2016年全日本実業団3位。現役時代は後衛。2017年に引退後、スポーツのデータを取り扱う会社にて野球のデータ配信事業やソフトテニスの分析事業に携わる。2022年10月より、一般社団法人日本女性アスリート協会の事務局長とデータアナリストに就任。明治大女子のコーチも務める傍ら、“いつもテニスを持ち歩く♪“がコンセプトのWEBメディア、ソフポケの運営など、幅広くソフトテニスに携わる。ソフトテニス・マガジンにて『データ分析をあなたの味方に!』を連載中