【STリーグ入替戦】初昇格の東ソー南陽を支えた松田蒼生主将。昨年の悔しさを糧に、「いくらでも粘ってやるっていう気持ちを持っていました」
STリーグ/プレーオフ◎12月19~21日/広島県・エフピコアリーナふくやま(福山市総合体育館)
初日全敗からの逆転昇格にはこの男の存在が欠かせなかった。12月末、広島県・エフピコアリーナふくやまで入替戦にあたる「STリーグ/プレーオフ」で初昇格を果たした東ソー南陽でキャプテンを務める松田蒼生。4試合で失ゲーム1という圧倒的な成績を残した。
しぶとくストロークで粘り、チャンスで素早く前に詰める。トップレベルのシングラーが手も足も出なかった。初日に濵田祐、東京ガスの中村日紀のいずれもG④ー0下し、2日目も日本信号の根本拓哉に1ゲームを落としたのみだった。
小学3年時に山口・永源クラブでソフトテニスを始め、福川中、南陽工業でプレー。地元山口県では名の知れた存在だった一方で、県外で大きな結果を残すことはできなかった。2018年の三重インターハイの成績はベスト32止まりだった。
卒業後は、地元の東ソー南陽に就職。「正直、最初は、テニスはそこまでいいかなって思っていました。大きな会社で、実家からも近かったので選んだという感じです」。ただ、メキメキと実力を伸ばし、チームとしても力をつけていくと、それに伴い責任感が上がった。
「団体で勝てるようになってきて、『上に行けるんじゃないか』って思うようになってからですね」。個人ダブルスでも西日本選手権でベスト4。安藤優作/安藤圭祐(東邦ガス)を下すなど、好成績を残すようになった。
そんな松田の転機は昨季の入替戦だった。3勝1敗と好成績を収めたものの、荒尾大輔(UBE)との1敗に実力差を感じたという。
「完全に見せつけられたような気分でした。向こうは100本でもつないでやるっていう覚悟が見えて。自分はそれに怖気づいちゃって、急いで負けたみたいなのがあったので。昨年の悔しさが本当に強かった」
そこからはインドアのテニスを磨いた。技術面では元々得意の前でのプレーに加え、緩急を駆使した。精神面では「去年の悔しさを思い出して、いくらでも粘ってやるっていう気持ちを持っていました」と振り返った。「今回は決められても焦ることはなかったです。1本つないで五分にするっていうのができれば、また自分のターンになると思っていたので。心の余裕が違いましたね」と頷く。
チームとしては初のSTリーグ昇格。「正直未知すぎる部分もあるんですが、気負わずに、もちろん上位を目指しますけど、いろいろな選手から全部吸収してやろうっていう気持ちで行こうと思っています」。成長を止めない25歳。初の大舞台へ向け、意気込んだ。

上のボールにも強いのはシングルスでさらに生きた

昇格への大きな試合にベンチも沸いた
























