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プレー&コラム
2017.05.01

ポジティブな感情が高まる習慣「良かったことを3つ書く」「感謝の手紙」「あいさつ」etc.

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.12 講師◎大儀見浩介

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「ありがとう」のパワーは大きい

『ポジティブサイコロジー(心理学)』という学問が90年代に入ってから確立されましたが、その父と言われるマーティン・セリグマンが提唱する「ポジティブ感情を継続して高めていくコツ」というのがあります。ここでいくつか紹介しましょう。

その日にあった良かったことを3つ書き出す

毎日やるとポジティブ感情が継続して高まります。

感謝の手紙を書く

今までお世話になった人の中で、お礼を言っていない人に手紙を書きましょう。可能ならばアポを取って、玄関先でその手紙を読み上げてください。感謝の気持ちのパワーは大きく、ポジティブ感情が高まると同時に鬱傾向の低下につながるとも言われています。家族や友人など身近な人に対しても、ありがとうをしっかり言うのはとても大切です。

人との比較をせず、自分の課題・目標について考える

自分の成績が上がり喜んでいたら、周りもみんな上がっていたというとき、途端にポジティブ感情が低下する人がいますが、それは違います。他者との比較ではなく、自分の努力や成果が認められて上がったと考えるべきです。

人と比べると、マイナス思考や局面的なプラス思考が激しくなり、浮き沈みしやすくなります。人より良くありたいという思いは否定しませんが、他人からの評価は人が決めることであり、コントロールできるのは自分の志向や行動だけです。自分の考え、成長が大事ということをしっかり理解し、簡単に浮き沈みしない力をつけるのがプラス思考のトレーニングです。

あいさつをしっかりする

あいさつは、ポジティブ感情を継続的に上げていくテクニックでもあります。ポジティブ感情が低い人を見てください。あいさつができていないことが多いです。

お金じゃない、成長を考えよう

人間のポジティブ感情は、お金で満たされるわけではありません。面白いデータがあり、年収500万円の人と年収1000万円の人ではポジティブ感情に年収と同じ倍の開きがありますが、年収1000万円の人と年収1億円の人のポジティブ感情には、それほど差がないと言われています。つまり、人間のポジティブ感情を高めていくために、お金はある程度必要だけれど、ある程度を超えると、ポジティブ感情はお金や物じゃなくなるということなんです。

では、人はどんなことにポジティブ感情を見いだすのでしょうか。ボランティアであったり、人と人の付き合いや愛であったり、やりがいや生きがい、使命感で動くようになるのです。とてもポジティブな動機ですよね。

トップアスリートも同じです。彼ら彼女らは、メダルの色や賞金のためだけにやっているわけじゃありません。当然、1位になりたいという前提はありますが、トップアスリートが最後に勝っていくときの感情は、自分のベストパフォーマンスができるかどうか、自分の実力がいかに通用するかという、自分へのチャレンジ精神であったり、自分がどんな経験ができるのか、自分がどう成長するのかという楽しみであるわけです。

メジャーリーガーのイチローは一生遊んで暮らせるほどの資産を持っていると言われていますが、まだうまくなろうとしています。自分の動作を磨いたり、バットを軽量化したり。なぜそんなことをするかというと、成長したいという気持ちがあるからです。それがトップアスリートの思考です。

お金や物ではなく、自分の成長を目指すと、自然とポジティブ感情が湧きあがってきます。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。