TOPICS
プレー&コラム
2017.10.09

自分の弱さ、敗戦から逃げない。どん底を経験した人ほど成長できる

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.34  講師◎大儀見浩介

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ボロ負けして悔しい、ケンカして泣いた。部活をやっているとつらいことがたくさんある。不安や恐れなど、湧き上がってくるマイナスの感情とどう付き合うべきか。

成長・進化・グレードアップで考える

イライラや緊張、不安をコントロールすることを、心理学の専門用語でセルフコントロールと言います。逆U字曲線を紹介しましたが、『ゾーン・フロー』と呼ばれる理想的な心理状態に入るためにも、常にこのグラフを頭の中に入れておいてください。

リラックスおよび切り替えの方法は以下の通りです。

・リラックス→筋弛緩法、深呼吸
・切り替え→セルフトーク、プラス思考

目標や課題が達成できなかった場合に感情がコントロールできなくなるというのもあると思います。目標課題は、結果・評価・比較ではなく、成長・進化・グレードアップで見ることが大事です。

ドラマのような体験をいっぱいした方が、より成長する

『ドラマチック体験理論』を紹介しましょう。スポーツ選手の成長は、単に競技年数の長さだけではない――ドラマのような体験をいっぱいした方が、より成長するというものです。

スポーツに打ち込むと、挫折・ケガ・敗北・出会い・発見など、ドラマのような体験がいっぱいあります。どん底も経験するでしょう。NHKの『プロフェッショナル』というテレビ番組にはいろいろな分野のプロフェッショナルが登場しますが、すごい人たちにも必ずどん底の時期がある、という構成になっています。

番組を見ていると、いろいろな経験・体験をする中で、今の状況を受け止め、認め、できることをしていく人たちが、成長していくのだと分かります。

自分の弱さ、敗戦、ケガなどを受け入れないまま避け続けると、いつまで経っても成長できません。現状と戦おうとせず、受け入れてしまえばいいのです。ドラマチックな体験をいっぱいした人の方が伸びると科学的に証明されているのですから。

確かに、どん底のときは、感情も揺れ動きますし、精神的にも辛いでしょう。普通でいい、波風立てないように生きたいという人もいます。

ですが、それだと競技をやっていても、面白くないですよね。自分自身がよりよくあるために、どんなことをすべきか、ということを考えている時間が長くなると、競技も人生も、充実してくると思います。


TOPICS プレー&コラム 2017.09.25
自分の怒りパターンを知り、イライラをサラッと受け流そう
ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.32  講師◎大儀見浩介
関連キーワード:メンタルトレーニング講座メンタル目標設定ソフトテニスプレー&コラムコラムイライラ感情110%目標心理的柔軟性

うまくいかなくて、イライラしてばかり。そんなんじゃソフトテニスも日常生活もいいことなし。小さな「イラッ」を受け流すトレーニングをして、イライラとの上手な付き合い方を学ぼう!

イライラ分析シートで傾向を分析

みなさんの質問を見ていくと、イライラにもパターンがあることが分かります。自分が何に怒りを感じやすいのか、下の「イライラ分析シート」を使って、傾向と対策を考えてみましょう。



記入例(上段)
①どんなときにイライラする?→ペアのミス
②どんな行動をする?→ガクッと下を見る、マジかよと言う
③理想的な反応は?→次のプランを考える
④具体的な切り替え方は?→次につながるプラスの声掛けをする
③の理想的な反応や、④の具体的な切り替え方が分からないという人は、周りのうまい先輩や同級生、あこがれのプレーヤーを参考にしてみてください。彼、彼女だったらこうするだろうなとイメージしてみましょう。調子がいいときの自分の行動を分析するのもいいですね。

イライラ分析シートは、試合のときだけではなく、普段の練習や学校生活、家庭でも使います。記入したら、ペアと共有し、「こういうミスが起きたとき、こう対処しよう」というように、共通認識ができればいいですね。

しんどいときほど成長のチャンス

イライラのパターンは、だいたい4つに分けられます。

・過去引きずり型→ミスを引きずるタイプ
・人、物、天気のせい型→自分は悪くない、○○のせいと責任転嫁するタイプ
・マイナスイメージ形成型→イメージする力が強い反面、マイナスのイメージをたくさんつくってしまい、自滅するタイプ
・目標・課題が不明確型→人にやらされている、目標が高すぎるor低すぎるタイプ

自分がどんなことでイライラするのか、それにどう対応すべきか、見えてくるのではないでしょうか。

中高生は、試験期間中や試合の前の日などは特に、睡眠不足で疲れてイライラすることも多いと思います。しんどいときこそ、成長のチャンスととらえて、イライラをプラスのエネルギーに昇華できるといいですね。

著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。

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