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プレー&コラム
2018.07.27

170cmで世界と戦うために「パワーのない自分のようなタイプは、どれだけ相手に嫌がられるかも重要」

硬軟織り交ぜたテニス論①船水颯人(ソフトテニス)×西岡良仁(テニス)対談

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硬式と軟式、若手トップの2人が、お互いの競技のことを語り合った。硬式で世界ランキング最高58位の西岡は、4年前のアジア競技大会で金メダルを獲得。同じ170cm、そのサイズに負けないように熟慮し、さまざまな工夫で勝負してきた。強い意志、それぞれの競技に賭ける思いも同じだった。

ソフトテニスの印象は「テクニックを使う、タフな競技」

――まず西岡選手にはソフトテニスの印象を教えていただけますか。

西岡 実際にやったことは1回ぐらいですが、出身の三重県は軟式が盛んな土地柄で、どちらかというと友人は軟式をしていました。子供たちはまず軟式を始めて、その後、高校で硬式に行く人がいるという感じですね。父も軟式から始めて、高校か大学から硬式に転向してプロを目指した人です。身近に軟式をしている人がたくさんいます。

――船水選手は硬式を参考にされている点もあると聞きますが、それはどういうところですか。

船水 もちろん、ネットの高さ、ボールの硬さも違います。特に、硬式のネットは中央が下がっているので、そこを通すことで角度がつけられる。軟式ではできないですが、できないなりにそこに寄せていこうと考えていますし、そういうチャレンジはしてきました。あとは、身体の使い方も参考にしています。

西岡 4年前にアジア競技大会に出場した時、会場が同じだったので、ソフトテニスの日本代表の試合を見に行きました。その時の印象はボールの回転数が多くて、ボールを曲げてゆさぶる。1ポイントがすごく長かった。なかなか決まらない分、テクニックをすごく使う。タフな競技だと思いました。

船水 シングルスだと長くて1時間ぐらいですね。

西岡 確か4ゲーム先取?

船水 そうです。でも、1日に多くて6試合とかすることもあるので。

西岡 トータルしたら軟式の方が長い。

船水 早ければ10分の時もありますが。

――お互いに身長が170cmと同じで、背が低いからこうしているということもありますか。

船水 楽天オープンは毎年見に行っていて、あとは映像で見た印象からですが、外国人は大きいですよね。

西岡 そうですね。180cm後半で普通です。

船水 失礼な言い方かもしれませんが、よく170cmで普通に戦えるなと。かなり振り回されますよね。そこは気持ちが分かるというか。

西岡 170cmはもう一人アルゼンチンのシュワルツマンだけで、身長差はつらいと言えばつらい。ボールが跳ねるので、フレンチ・オープンのベルダスコ(スペイン)戦はずっとジャンプしていました(笑)。肉体的疲労はこちらの方に来ますね。

その分、スピードとテクニックで補っていこうとしていますが簡単にはいかない。ソフトテニスの場合はどうなのですか。自分のイメージでは硬式ほどボールが跳ねないのと、スライスを多く使う。そこまで身長が高すぎるとヒザを曲げるのがつらいのでは。

船水 サーフェスにもよりますね。ハードコートではボールがめちゃくちゃ止まります。だからラリーもほとんど決まらない。逆にクレーだとすべり、ボールが速いので大きな選手が有利に。韓国の選手は皆大きい。キム・ドンフンという韓国の選手が世界で一番強いのですが、彼だけは自分よりも少し大きいくらいなんです。今、その選手からテクニックなどを見て学んでいます。

硬式は横の動きしかないというイメージがありますが、自分たちはボールが跳ねない上に前後の動きが多いので、運動量はこちらの方が多いのかなとも思っています。

西岡 そこまで前後に動かすことはないですが、左右はあります。選手によって、動く人、そうでない人も。走らなくても勝てる人も出てきます。1本エースを打てばいいという一発勝負の選手もいます。そうなれば、タイミングなども変わってきますね。

ただ、今の時代はまず動けないとだめですね。フットワークを最優先して、そこからどうやってつないでいくか。軟式の試合をフルで見てみたいですね。面白そう。少し前、カットサービスがなくなるという話がありましたよね。あれはどうなったのですか?

船水 変わらなかったです。ソフトテニスの後進国は、カットサービスをされるとリターンができない。それだけで試合が終わることがあったので、国際舞台で問題になりました。切れるというか、ほとんど弾まない。

西岡 リターンはどう対処するのですか。それは上に打つしかないですよね。

船水 それを打ち返す。逆に言えばリターンができれば勝てるんです。

西岡 なるほど。

船水 リターンが浮いてしまうと、そこを叩かれますが、打ち返すことができればこちらのポイントになる。そういう流れですね。

西岡 基本的にカットサービスは全員打てるのですか。

船水 打てますが、コートのサーフェスよって違います。ハードコートだと使いますが、外のコートだとほとんど使いませんね。ボールが滑るのと、風の影響をかなり受けるので。外でロブを打たれるとスマッシュも難しくなるほど。サービスの精度が高くないと不利になります。

いろんな影響を受けるソフトテニスの特質

西岡 台湾の選手とダブルスを組むことが多く、彼らのほとんどが軟式出身です。だから、ボレーも軟式の持ち方(ウエスタン)で、彼らは“身体の近くだと絶対に止められるが、上に打たれたら取れない”と言ってきます。

ダブルスでは待っていればいいですが、シングルスでこの(ウエスタン)グリップはどうなのですか。後ろから行くので、下のボールは難しくないですか。

船水 前衛のネットプレーヤーなら前に行く人も多いですが、シングルスで前に行っても決まらない。落とせないので、決まらないことも多い。

西岡 やってみたくなりますね。1回しかやったことがないので、聞くだけではイメージがわかない部分もある。癖でスピンかけたら、フェンスを越えたのを覚えています。硬式をしたことはありますか。

船水 授業とか遊びではあります。フォアは軟式だと“ドフラット”なのでスピードが出ます。

西岡 フォアすごそうですね。

船水 フォアは行けるんじゃないかと。ネットの真ん中が低いので、言い方は悪いですが、どこでも打てそうな感じがします。硬式だとスピンをかけすぎたらというのがないので、狙ったところに打てる。狂いが少ないと思います。うらやましい。ソフトテニスだと打つ自分も分からない時があります。また、ハードコートで硬式の後だと、フェルトが残っています。ソフトテニスのボールは、そういうことにも影響されるほどですから。

西岡 すいません。掃除しておきます。

船水 ソフトテニスはサーフェス、風などいろんなことに影響されるので、打った後にえっ!?とびっくりすることも。そういうことから戦術を立てることもあるほどです。

西岡 硬式はバウンドが早いので、ちょっと風でずれるだけで目が外れます。そうすると入らない。風上、風下で伸びが変わるし、風上からビックサーバーの選手にサービスを打たれたら、それは取れない。あきらめるしかないです。風下から自分がサービスだと相手は思いっきり来る。ブレークされやすい。

風上の方がいいのですが、ボールが飛んでいくので、アグレッシブにプレーしすぎるとミスも増える。風下はボールを打てばいいので、風下の方がラリー戦になると強い時もあります。その時に風を上手く使えた方が勝つ感じでしょうか。

自分は力を抜いて、ボールが風に影響されるような打ち方をすることもあります。ボールを軽くして、曲げることで、相手も打ちにくい。パワーのない自分のようなタイプは、どれだけ相手に嫌がられるかも重要です。

西岡良仁
プロテニスプレーヤー/ミキハウス
にしおか・よしひと●1995年9月27日生まれ、22歳。三重県出身。170cm、64kg。左利き。橋北中→青森山田高。小学生3冠を達成し、中学3年の夏から(公財)盛田正明テニスファンドの支援を受け、IMGアカデミーへ留学。2014年1月にプロ転向、同年のUSオープンでグランドスラム大会デビュー。直後のアジア競技大会で金メダルを獲得。世界ランキングは58位までアップさせたが、2017年3月のマイアミで左足の前十字靭帯を負傷。リハビリから復帰した。

船水颯人
ソフトテニスプレーヤー/早稲田大
ふねみず・はやと●1997年1月24日生まれ、21歳。青森県出身。170cm、右利き/後衛。黒石烏城クラブ→黒石中→東北高→早稲田大4年。全日本シングルスで史上最年少優勝を果たし、天皇杯、全日本インドアのタイトルも持つ。単複で日本を代表するプレーヤー。2015年世界選手権で日本代表に初選出され、国別対抗金メダル獲得に貢献。2018年アジア競技大会日本代表

※Vol.2は8月3日公開予定。この対談は、ソフトテニス・マガジン9月号(7月27日発売)、テニス・マガジン9月号(7月21日発売)に掲載したものです。


構成◎内田麻衣子 写真◎馬場高志、川口洋邦、毛受亮介

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