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2018.10.26

【国体秘話】少年女子・開催県の重圧とも戦った福井「恥ずかしい試合じゃなかった」

第73回国民体育大会◎10/5~8 武生(たけふ)中央公園庭球場、福井市わかばテニスコート

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国体のマスコットキャラクター 「はぴりゅう」ポーズを決める福井チーム

福井県の武生(たけふ)中央公園庭球場と福井市わかばテニスコートで開催された、第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」のソフトテニス競技。大会初日の10月5日、武生中央公園庭球場では47都道府県フルエントリーの少年女子が行われた。そこで一番の盛り上がりを見せたのが、開催県の福井と、福島が激突した2回戦。隣のコートのスタンドにも観客が詰めかけ、地元の報道陣も数多く取材に訪れていた。

「国体のメンバーで勝ちたかった」と涙

1番ダブルスの中村生芽/酒井美空は、第1Gを0-④で取られたものの、続く2Gをいずれも④-0で取って逆転。先勝に向けて勢いづいたかと思われたが、第4G以降は相手の佐藤純寧/市川美空のアグレッシブなプレーに劣勢を強いられた。結局、3Gを連取されて逆転負け。初戦突破に向けて苦しいスタートとなった。

中村生芽

酒井美空

2番シングルスの小林紗菜も、下川さくらとの対戦で最初の2Gをデュースの末に落とす。だが、ここから地元の大声援に乗って好ショットを連発し、4G連取で逆転。勝敗の行方は3番ダブルスの松田美涼/山口梨々香に託された。

高橋萌々/遠藤悠沙との3番勝負は、一進一退の展開。松田組が第1Gを取るも、第2、第3Gは高橋組に奪われる。第4Gを松田組が取り返した後、第5Gで先行されたが、第6Gを取ってファイナルにもつれ込んだ。ここでも競り合いが続いたが、4オールから松田組が一歩リードして5-4、勝利が近づいた。

だが、ここから地元の大声援に負けない高橋組の反撃に遭う。次のポイントを取られて5オールとなり、その次も取られてマッチを握られた。最後はそのまま押し切られて5-⑦。1番のプレーボールから約1時間50分の熱戦の末に、無念の初戦敗退となった。

小形光雄監督(福井商業高監督)は「(初戦に勝って)ベスト8懸けの試合に臨むことを目標にしていました」という。だが「選手たちは2、3日前の練習から調子が上向いていて、力を出しきってくれた。でも一歩及ばなかった。その一歩に大きな差があると感じました」と悔しそうに振り返った。

その上で「国体の強化でたくさんの方にお世話になり、練習を重ねてきましたが、やはり基本的な練習を大事にしなければいけない。サービス、レシーブといった基本的なことで、失ポイントにつながらないようにすることが大切だと感じました」と課題を指摘。それでも「もっと県外に出ていって試合をして、いろいろなテニスを学び、他人を知って自分を知ることで、自分を作っていけるのではないか。そうやって、このチームも『いける』と思うことができた」と今後に目を向けた。

地元の武生高から唯一の出場となった酒井は、1番の試合後にベンチに戻ってきたときは涙が止まらなかった。「応援してくれている人たちに『いいところを見せたい』という気持ちが強すぎて、緊張してしまい、自分のプレーが全然できなかった」とポツリ。地元での試合に「プレッシャーを感じていた」というが、それよりも勝ちたかったのは、仲間たちのためだった。「国体のメンバーで練習しているときは毎週のように遠征、遠征でした。すごく仲が良かったので、このメンバーで勝ちたい思いが強かった。悔しいです」と言葉を振り絞った。

それでも試合後、他のメンバーは「かっこよかった」「恥ずかしい試合じゃなかったよ」と声を掛けてくれたという。「それがうれしかった」と言った酒井は、ようやく少しだけ笑った。

目標には届かなかったとはいえ、仲間との日々は、かけがいのない思い出となるだろう。出場メンバーのうち、北陸高の松田は2年、福井商業高の中村と山口は1年。3人は貴重な経験を糧に、再び全国の舞台に向けて挑戦を続けることになる。

小林紗菜

松田美涼

山口梨々香

地元の大声援を受けて盛り上がる福井チーム。左端が小形監督

※福井国体のリポートは現在発売中のソフトテニス・マガジン12月号に掲載されています。お求めはお近くの書店へ。書店がない場合はアマゾンへ(他サイトに飛びます)。


取材・文・写真◎石倉利英

 

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