
【ナロさんのここがいいね】157回・若者や女性が輝ける、新しい100年へ! SNSの活用を若い世代に任せてみては

先日、日本ソフトテニス連盟の創立100周年記念式典に出席させていただきました。会場には、来年のアジア大会を控え、スポーツ協会やオリンピック委員会からの来賓、韓国、中華民国の会長をはじめ、全国各地のソフトテニス関係者など、200名以上が一堂に会する盛大な式典となりました。
しかし会場を見渡してみると、若い世代や女性の姿はまばらで…。席次表を見てみると、参加者204名のうち、女性と思われる名前はわずか18名でした。男性の年齢層も、ほぼシニア世代でした。
この100年間、全国のソフトテニス連盟において中心を担ってきたのは、ほとんどが男性です。その歴史を思えば、招待者が年配の男性中心になるのも自然な流れかもしれません(スポーツ庁がまとめた中央競技団体の運営指針「ガバナンスコード」では、女性理事の割合で「40%以上」の目標を掲げているので、近年(公財)日本ソフトテニス連盟では女性理事の積極登用をしている)。
けれども、これからの100年を考えたとき、私たちはこの現状にこそ強い危機感を持たなければなりません。ソフトテニスは中学生年代では他の競技と比べても圧倒的に競技人口が多いスポーツです。にもかかわらず、高校・大学・社会人と年齢を重ねるごとに、競技から離れてしまう人が多いのが現実です。
そこには、「続けたい」と思える環境や、「続ける意義」を感じられない制度・構造があるのではないでしょうか。この状況を変えるには、競技の魅力を再発見し、広く伝えていくと同時に、組織や運営のあり方にも変革が必要です。
特に、日本連盟をはじめ、各都道府県や市区町村の連盟には、女性や若い世代を積極的に登用し、次世代の視点と感性を取り入れた運営が求められています。そして、彼らが「ソフトテニスを選びたい」「関わり続けたい」と思える仕組みづくりが急務です。
その一つの提案として言いたいのは、SNSの活用を若い世代に任せることです。日本連盟でも近年、X(旧Twitter)やYouTubeでの情報発信を始めていますが、現状では大会結果や試合映像が中心です。もちろん、それも重要な情報発信ですが、今求められているのは、多様な角度と手法によるコンテンツづくり。若い世代はもちろん、シニア世代にも響くような訴求力ある発信が必要です。実際、他競技ではすでに以下のような取り組みが進んでいます。他の競技でも、SNSを上手に活用している団体は存在します。
① 日本バスケットボール協会
・Instagram/TikTok/YouTubeを積極活用
・選手の舞台裏や「神プレー集」、私生活の紹介などが人気
・ハッシュタグやファンとの交流企画も豊富
② 日本サッカー協会
・速報性に優れ、ファン参加型コンテンツが充実
・試合直後のコメントや映像をSNSですぐ公開
・TikTokでは選手のチャレンジ動画も展開
実はこうしたコンテンツはソフトテニスでもすでにユーチューバーやブロガー、専門メディアによって発信されています。ところが、日本連盟はこれまで、そうした人たちと距離を置いたり、一部を制限したりして、自前での発信にこだわってきました。しかし、今は、彼らの力も借りて、一丸となってソフトテニス界内外へ発信していくことが何より大切ではないでしょうか。その鍵を握るのが、「若者」と「女性」の登用です。
100周年は、過去を称える節目であると同時に、未来への覚悟を定めるタイミングです。これまで築かれてきた伝統と価値を大切にしながら、若者や女性が輝ける、新しい100年へ。その第一歩を、今こそ踏み出すときです。
いいね!