
【強さをつくる食事学52】
強さをつくる食事学◎2025年10月号掲載。第52回

“海藻”のチカラ~カラダの内側から強くなる食材~
暑い日が続く中、練習を頑張る皆さん、毎日の食事に「海藻」を取り入れていますか?海藻と聞くと、「ダイエットに良い」とか「ヘルシーそう」といったイメージはあるかもしれません。実際は、アスリートである皆さんの身体づくりやパフォーマンス向上にも大きく関わる、すごい食材なのです! 今回は、海藻の持つパワーをわかりやすく紹介していきます。
1.“食べすぎ防止”に役立つ!
海藻はカロリーがとても低く、それでいて「食物繊維」がたっぷり。食物繊維は胃の中で水分を含んでふくらみ、満腹感をサポートしてくれます。おにぎりやパン、麺類などの炭水化物といっしょに、わかめスープや海藻サラダを食べるだけでも、食べすぎ防止に役立ちます。つい、お菓子などを食べてしまうというあなたにはもってこいです。また、食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急上昇をおさえてくれます。これは、食後の眠気やだるさの予防につながります。
2.“お腹スッキリ”で調子上昇
女子選手の便秘はよく耳にします。便秘になってしまうと、カラダを重く感じたり、集中力が落ちたりすることも…。海藻に多く含まれる「水溶性食物繊維」は、腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えるのにぴったりです。お腹の調子が整うと、栄養素の吸収がスムーズになり、トレーニングの成果も出やすくなりますよ。
3.“風邪をひきにくい”カラダへ
海藻には「フコイダン」という、余り聞きなれない成分が入っています。このフコイダンは、体の中の免疫細胞を元気にして、病気への抵抗力を高めることが知られています。毎日練習しているアスリートにとって、体調を崩して練習を休むのは避けたいところ。だからこそ、日々の食事で“体調をくずしにくいカラダ”をつくっていくことが大切です。
4.肌も元気に!日焼けは意外と疲労につながる
紫外線を浴びる夏の試合シーズンや、冬の乾燥する時期でも、肌を元気に保つには内側からのケアも大切です。特に今年は早くから気温も高く、紫外線も厳しい日が続いています。紫外線を浴びすぎると体内で活性酸素が多く産生されます。これは、疲労につながるものでもあります。海藻には、ビタミンやミネラル、抗酸化成分(=活性酸素をやっつける成分)が豊富に含まれているため、疲労回復を高める働きがあります。
5.骨を丈夫に!成長期にうれしい栄養素
ソフトテニスでは、ジャンプやダッシュ、素早いフットワークが欠かせません。それを支えるのが「骨」。海藻には、カルシウムやマグネシウムといった“骨づくりのミネラル”がたくさん含まれています。特に成長期の期間は、骨を強く育てることが、将来のケガの予防やパフォーマンスアップにもつながります!
6.貧血予防にも
特に女子選手に多いのが「鉄不足による貧血」。鉄が不足すると、酸素を運ぶ力が落ちてしまい、持久力が下がり、疲れやすくなります。海藻には「植物性の鉄分」も含まれているため、毎日の食事に取り入れることで、貧血予防にもつながります。ビタミンCと一緒にとると吸収率がアップするので、例えば「わかめとトマトのサラダ」などがおすすめです。
海藻をもっと気軽に摂る
◎朝食の味噌汁に乾燥わかめをプラス
◎昼食のスープにカット昆布やもずくを入れる
◎海藻サラダを常備菜にして冷蔵庫にストック→ポン酢やドレッシングで味の変化も楽しむ
◎インスタントラーメンの具に乾燥わかめを
◎お惣菜のひじき煮をご飯に混ぜてひじきご飯、卵焼きに混ぜてひじき入り卵焼き
このように、地味に見えて栄養豊富な海藻類は、少しの工夫で意外と料理に取り入れやすい食材です。ぜひ試してみてください。
著者プロフィール
岡田あき子
体育学修士、管理栄養士。筑波大学大学院体育研究科修了後、大阪市立環境科学研究所附
設栄養専門学校にて栄養士免許、2011年5月管理栄養士免許取得。フリーランスで活動中
で、マンツーマン及びチームサポート、非常勤講師などや、スポーツインテリジェンスの
契約栄養士として東芝姫路、三重高校のサポートにも関わっている。