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2023.10.07

【アジア大会2023】シングルスも制した上松俊貴、日本人初の3冠! 女子、高橋乃綾が銀メダル! 3冠まであと一歩

アジア競技大会2023◎10月3~7日/中国杭州・オリンピックスポーツセンター内テニスセンター

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頼もしく、誇らしい――圧巻の3冠を達成した上松

 中国・杭州で開催中のアジア競技大会、5日目の最終日は男女シングルスで決勝トーナメントが行われた。この日は朝からの雨により、急きょ、センターコートに加え、体育館を使っての試合となった。日本は男子・船水颯人、上松俊貴、女子・高橋乃綾、尾上胡桃が決勝トーナメントに進出。アジア一を目指し、それぞれが懸命にコートで躍動した。

▼男子
上松俊貴がやってのけた!――前日の予選リーグで1勝1敗ながら2位通過。最終日は決勝トーナメント初戦で船水颯人との同士討ち決勝を対戦。日本にとってつぶし合いはつらいものがあったが、序盤は船水が主導権を握り、G3-2とリード。しかし、終盤に上松がリズムを変え、2ゲーム連取でG④―3で準々決勝へ。

 準々決勝では韓国のキム・テミンをG④―2、準決勝では中華台北の陳郁勳をG④―3で破り決勝にコマを進めた。決勝は国別対抗決勝でも戦った張祐菘との一戦。前日から体調がすぐれなかったものの、「コートに立った以上、へばりついてでも勝つ」(上松)という強い気持ちで、1ゲーム目こそデュースで競ったものの、終始、主導権を握り、G④―0でシングルスでも金メダルを獲得した。

 日本男子としては初となる国別、ミックスダブルス、シングルスでの3冠達成となった。

5日間、戦い抜いた上松。日本のエースへと成長した

最後まで表彰台の頂点に立ち続けた上松

▼女子
 ディフェンディング・チャンピオンの高橋乃綾、尾上胡桃が準々決勝に進出。ともに、韓国選手との一戦となり、大きなヤマ場となった。韓国の大黒柱・ムン・ヘギョンと対戦した尾上は、G1-0から3ゲーム連取されたが、第5ゲームを粘り強くラリーをし、④―2で挽回。しかし、ショットにキレのあるムン・ヘギョンは続く6ゲームを④―1で奪い、尾上の行く手を阻んだ。高橋乃綾はイ・ミンソンにG0-3とされたが、高橋は「1本で流れの変わるシングルス」だと思い、そこからジリジリと追いかけファイナルにして、流れを引き寄せ、そのファイナルは⑦―1で勝利。見事な逆転勝ちで4強入りを果たす。

 準決勝に勝ち上がった高橋は、中国の李邓琳をG④―1で倒し、2大会連続の決勝進出を決めた。決勝は4強決めで尾上を破ったムン・ヘギョンと激突。今大会の韓国は国別対抗3位、ミックスダブルス3位と日本に金メダルを奪われてきた。一矢を報いるため、序盤からムン・ヘギョンは気持ちを前面に出し、打球の角度、長さなどを自在にコントロールして、たたみかける。高橋の反撃の芽を与えず、4ゲーム連取し、一気に勝負を決めた。「サービスレシーブでのミスが響き、展開にもっていけませんでした」と悔しさをかみしめる高橋。だが、シングルスは銀メダルとなったが、国別対抗、ミックスダブルスと優勝し、2冠獲得はすばらしい限り。

 日本男女は国別対抗、ミックスダブルス、シングルスと5種目中4種目で金メダル獲得。日本代表史上、最高の結果を残した。全種目で決勝進出を果たし、これまでにないほどの大きな規模のセンターコートで日本代表選手たちは躍動し続けた。決して忘れることのない5日間となった。

決勝後はコートに膝をつき、涙がとまらなかった高橋。しかし、シングルスでは2大会連続決勝進出、その上今大会、2冠も獲得。胸を張ってほしい

韓国のムン・ヘギョンは最後に意地を見せた

取材・文◎八木陽子 写真◎高原由佳