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2017.09.09

【インタビュー】予選敗退から初王者への軌跡 後編

インハイV羽黒高・白幡光監督インタビュー

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「県予選で負けたから優勝できたと言えるように頑張ろう」と自分に言い聞かせていました。
優勝できた今、「やっと呪縛から解き放たれた」そんな気持ちです。(白幡監督)

インハイV高監督interview

予選敗退から初王者への軌跡
白幡光
◎2017インターハイ男子団体優勝・監督[羽黒]

春の高校選抜で準優勝を収め、優勝候補として臨んだ今大会。夏の頂までに乗り越えた逆マッチは12本に及ぶなど、幾度も窮地に追い込まれながらも、あきらめずにつかんだ初タイトル。その王者までの道のりは、16年の県予選敗退から始まった。

 

一晩おいて冷静になる

 メンバーもそれ以外の選手も、自主性を育んで目標達成のために努力できる人になってもらうことが最大の願いです。それが社会に出ても活躍できる人間だと思いますから。その上で日本一になったり、勝てる人になってほしいと思っています。

指導では、ちょっとした態度面はすぐ注意することもありますが、練習面で気になったり試合後などに言いたいことがあったりしても、一度目には注意しないようにしています。そのときたまたまということもあると思うからです。私自身も感情的になっていますから大事なことはすぐ注意するのではなく、一晩おいて考えて、それでも注意したほうがいいと思ったら冷静に注意するようにしています。最適な判断をするためには、自分自身も冷静になることが大切です。技術面も同様に、たまたまミスしただけかもしれないので、確信を得てからアドバイスするように心がけています。

実は昔はすぐ感情的に怒っていました。でもあるとき女子生徒に、先生がベンチにいると怒られるのが怖くて思いきりプレーできないと言われたことがありました。考えさせられましたね。最近やっと、冷静になれるようになりました。

インハイのベンチでは具体的な声かけはほとんどしなかったと白幡監督。さまざまな場面を想定した日頃の練習通りに「やるべきことをやるだけ」

一人ひとりに勝利の近道がある

中学教員時代も今も、指導の基本方針は変わっていません。毎年新チームになると選手が変わるので選手に合ったやり方を考える必要はありますが、日本一になれるレベルを維持する指導が基本です。

そのために一番大事にしていることは、生徒を“見る目”です。プレーを見た時に判断し、レベルを決めるのは目だと思うからです。”羽黒ではこうですよ”とスタイルを押しつけても、そのスタイルが合わなかったらもったいない。自分自身の目で生徒を見て、彼ら彼女らにとって一番いいプレーや、身体の特長を一番生かした使い方をアドバイスできるようにしたい。それが勝つための一番の近道になると考えています。そのためにはやっぱり、毎日コートに来て、自分の目で生徒を見るしかないんですよね。

(前編はコチラ

逆転優勝エピソードby白幡監督

コンディショニング栄養ゼリーで集中持続!

周囲からの提案もあり、大会1か月前から「プロテイン」などを毎日飲み、大会期間中にもコンディショニング栄養ゼリーを飲んだ。大会直前に今までと違うことをするとマイナス面もあるかと心配したが、胃腸の調子が良くなり、筋肉痛もなく集中力が持続できた。ちなみに6月の東北大会では3選手が足をつったが、激しい試合が続いたインターハイでは疲労感もなく、厳しい場面でも集中力が切れなかった一因になったと考えている。

しらはた・みつる◎羽黒高教諭(数学)、男女ソフトテニス部監督。1966年9月1日生まれ、50歳。菅野代中→鶴岡南高→山形大。菅野代中でソフトテニスを始め、3年時に県大会団体戦優勝、鶴岡南高でも県大会団体戦優勝を果たした。国体にも2度出場している。大学卒業後、山辺中赴任1年目からソフトテニス部顧問に。その後、鶴岡四中、鶴岡一中と赴任した学校を次々に強豪チームへと育て上げ、全国中学校大会団体優勝1回、個人優勝2回など数々の栄冠を手にした。2009年に19年勤めた公立中学の教員を辞し、羽黒高に奉職。2013年の東京国体少年男子で羽黒高4名が所属した山形県を優勝に導く。2017年には選抜準優勝、インターハイ団体優勝を遂げた。

取材・文◎井口さくら 写真◎井出秀人