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2017.03.30

常にチャレンジする、立ち止まっていると何も生まれない

【WEB連載】船水颯人『JKTへの道』#11 目標・プランの立て方

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新シーズンのスタートに当たり、船水颯人に目標設定やプランの立て方について聞いた。「大会直後、記憶が残り、感触がカラダにあるうちに」。試合でも簡単な練習でも、常にチャレンジをする。「失敗して、気がつくことは多い」。

ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第11回は、目標・プランの立て方について。

船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年(4月~)

練習量を増やしすぎて失敗しました(笑)

――入学シーズンです。高校、大学の新1年生は環境が大きく変わります。自身の経験から、この時期に気をつけた方がいいと思うことはありますか。

無理しないことです。僕は大学に入って、高校時代よりも練習量が少なくなったことで不安になり、もっとやらないといけないと思ってしまいました。そこで、つい無理をしてしまって……。コンディションを崩すきっかけになったんです。あれは失敗でした。

――無理して失敗しないためにはどうすればいいですか。

こればっかりは自分で失敗しないと分からないと思います(笑)。身を持って知ることが一番ですね。僕もそうでした。

人によって体力やカラダのつくりは違いますし、自分に合った練習量(自主練習を含め)を知ることが大事です。「ここまでやるとダメだ」という限界が分かってくると思います。

――船水選手自身、そのトライ&エラーの経験は昨年度(2年時)に生きましたか。

「我慢」ができましたね。昨年の夏、プレーに物足りなさを感じて、もう少し練習して補いたいと思ったことがあったんです。自分のカラダと相談して、疲労が溜まっているのが分かったので、あえて休みました。

そのときは不安な気持ちになるのですが、無理してトレーニングすればどうなるのか知っていますから。これが失敗から得た教訓です。

そもそも、練習量は、増やせばいいというものでもありません。まず、自分を見つめること。僕の場合は国際大会(2015年の世界選手権)に出場したときに、自分の課題がはっきりしました。

人それぞれ課題や状況は違いますけど、自分の弱点はどこか、それをどのように修正すべきなのか、自分で整理した上で、練習に取り組んだ方がいいと思います。そうすれば、最終的に試合に勝つ手段が見つかるはずです。

あまり頑固になり過ぎず、いろいろな人の意見を取り入れながら、前に進むことが大事です。

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3月中旬に行われた2017年度の第1回ナショナルチーム合宿で

本音は勝ち続けたい、勝ち続けることに価値がある

――昔から考え方を変えずに貫いてきたことはありますか。

練習の質にはこだわってきました。高校のときから、それは変わりません。

――練習の質とは?

試合の状況により近づけて、練習を行うことです。シンプルな一本打ちでも、打点の高さを変えるだけで、状況設定が変わります。クロス方向から飛んでくるボールを想定して打つとか、自分次第で工夫はいくらでもできます。僕は漠然とボールを打つことはしません。

――簡単そうな練習でも、自ら難しい設定にすると。

失敗して、気がつくことは多いので。チャレンジすることで、何かが生まれます。立ち止まっていると、何も見えてきません。自らの目標、プラン、テーマから逆算して、常に考えて練習しています。

――シーズンの目標やプランは、いつ、どのようなタイミングで考えているのですか。

今年の目標は、昨年(2016年)のアジア選手権が終わった時点で「次のシーズンはこれでいこう」というものが頭にありました。一昨年(2015年)は世界選手権の直後でした。

国際大会の舞台で戦った直後だからこそ、気がつくことがあります。僕の場合は海外の選手と戦うことで、足りないものが見えてきました。

――大会後、ひと息ついてから、ゆっくり考えるというのでは?

いや、記憶が頭に残り、感触がカラダにあるくらいのほうがいいです。大会中でも、課題が見つかると、「来季はここを重点的に鍛えないといけないな」と思うこともあるくらいですから。

今シーズンは、国際大会がないので、インカレ(8月)、天皇杯(10月)が終われば、すぐに次に向けて、テーマを立てると思います。

自分の目標としている大会、試合の後だと次のプランを立てやすいはずです。その大会に何かしらのテーマを持って臨んでいれば、それができたのか、できなかったのか、もし未達成に終わった場合、その原因を検証すれば、自ずと次の目標、プランを立てることができます。

――仮に大会で優勝し、完ぺきにテーマをクリアーできても、すぐに次のプランを考えるのですか。

やっぱり、次も勝ちたいですから。立ち止まっていると、勝てなくなります。「勝ちたい欲を捨てる」と自分に言い聞かせていますが、本音は勝ち続けたいと思っていますし、勝ち続けることに価値があります。

ナショ合宿、アジア選手権ダブルスのペアで4月から早稲田大の新1年生となる上松俊貴(右)と

ナショ合宿、アジア選手権ダブルスのペアで4月から早稲田大の新1年生となる上松俊貴(右)と

船水颯人『プランの立て方』
・目標としている大会にテーマを持って臨む
・できたのか、てきなかったのかを検証する
・弱点・課題を練習に落とし込んでいく

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次回は4月下旬に公開予定です。

取材・構成◎杉園昌之 タイトル写真◎阿部卓功 写真◎上野弘明

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