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角度をつけて速いボールを打つ、ずっと練習してきたショットで勝負ができた

「照準は全日本シングルス。まず、そこで勝ちたい」の言葉通り、2017年の全日本シングルスを制した船水颯人。今シーズンから取り組んできた「スピード」テニスを結実させての勝利だった。

ソフトテニスマガジン・ポータルでは、船水颯人の2018年ジャカルタ(JKT)アジア競技大会に向けた取り組みをインタビュー連載で追っていく。船水颯人『JKTへの道』第15回は全日本シングルスについて。

船水颯人/ふねみず・はやと 1997年1月24日生まれ、20歳。青森県出身。身長170㎝、右利き、後衛。黒石烏城クラブ(小1)→黒石中→東北高→早稲田大3年

2年ぶり2度目の全日本シングルス優勝を決めた直後

引っ張り、流しの軌道はイメージ通り

――全日本シングルス優勝、おめでとうございます。納得の行く内容でしたか。

手応えはありましたね。ケガもあったので、ラリーをなるべく短くして、足に負担がかからないようにしていました。それがうまくできたと思います。

――ラリーを短くするためにしたことは?

スピードボールで勝負することです。昨年からずっと練習していた、角度をつけたボールを使い、ゲームを優位に進めることができたと思います。サイドライン際によく弾けていましたね。

――試合の映像は見ましたか。

自分のiPhoneでチェックしました。引っ張り、流しのボールの軌道を確認したのですが、イメージ通りでしたね。

ただ、角度をつければいいというものでもないんです。スピードを殺せば、誰でも簡単に打てますから。角度をつけて速いボールを打つのが、難しい。僕はそこにこだわって、練習してきました。

 手首の使い方を意識した

――きょう、全日本シングルスの写真を持ってきたのですが、自身がボールを打つ瞬間の写真を見て、気づくことはありますか。

インパクトの前に、ラケット面の角度が上を向いている写真(下)がありますよね。これは、今までとは少し違う打ち方なんです。今大会は手首の使い方を意識していました。

船水颯人が全日本シングルス決勝から選んだ1枚

――写真を見て分かる?

そうですね。1回戦から思い通りのボールが打てていましたから。

――手首を使って打ち分けるメリットは?

打ち方を見ても、相手はどのコースにくるか、読めなかったと思います。普通、逆クロスに打つ場合、分かりやすいフォームになるのですが、手首を使うと、それが分からなくなるんです。

決勝では、普通のことをしても、長江(光一)さん(NTT西日本)に勝てないと思っていた。試合の終盤まで隠していたショットもありました。

――船水選手にとって、試合の流れを引き寄せるショットだった?

もしあの場面で、あのショットを失敗していれば、逆転されていたかもしれません。試合のヤマ場で、ずっと練習してきたショットを決めることができたのは、うれしかったですね。

※次回は6月8日(木)に公開予定

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取材・構成◎杉園昌之 タイトル写真◎阿部卓功 全日本シングルス写真◎宮原和也
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