TOPICS
プレー&コラム
2017.12.18

試合で最高のパフォーマンスを発揮するための自己分析シート

ソフトテニスに効くメンタルトレーニング講座Vol.42  講師◎大儀見浩介

関連キーワード:

いつも指示待ち、自分に自信がなくて……。原因は自己肯定感が低いからかも。毎日365日、自分を観察する『セルフモニタリング』で目に見える自信を積み上げよう!

 最悪のプレーをしたときは成長のチャンス

試合で最高のパフォーマンスを発揮するための自己分析シートを紹介します。毎日の練習で取り組むのが練習日誌ならば、試合後に行うのがこの自己分析シートです。①は試合前の準備について、②は試合で最高のプレーができたとき、最悪のプレーをしたときの、行動や心の状態を分析します。

最悪のプレーをしたときにはこういうことを考えていた、こういう言葉が多かった。最高のプレーができたときは、こういう思考やこういう言葉が出てきた。

最高のプレーができたときは、①の良い準備ができていたのではないでしょうか。最高のプレーができたときの準備を参考に、常に最高のプレーをするための環境を整えていけばいいわけです。

一方、最悪のプレーをしたときは、成長のチャンスととらえます。自分に何が足りなかったのか、どうやって挽回すべきだったのかを分析することで得られるものは多いでしょう。そうやって、試合のときの自分の行動だったり、思考パターンをクリアーにしていくのです。

ところで、質問をくれた方たちは、自分を知らないわけでも、心が弱いわけでもないんです。頑張ろうとしているけれど、どうしたらいいか分からず、受け身になり過ぎて溺れかけています。ただ、泳ぎ方を知ればいいんです。

メンタルトレーニングの入り口は、目標設定でした。目標にたどり着くまで、モチベーションには波があり、その波をできるだけ小さく、大きな波に打ち砕かれないようにするには、セルフモニタリングや自己分析する力が大事になってくるのです。目標に対する考え方には、課題目標と自我目標の2つがあります。

課題目標
・能力の向上に関心を持って行動する
・努力重視
・プロセス重視
・新しい知識・技術の習得を目指す
・能力の高低にかかわらず、自信が低下しても挑戦していく
・失敗を成功の情報源と考える
・指導者を良き導き手ととらえるetc.

自我目標
・成績・評価を考えて行動する
・結果・成果・優劣を重視
・能力の枠内で行動する
・他者との比較を重視
・能力は生まれつきのものと考えている
・自信が低下すると挑戦を避け、無力感に陥りやすい
・失敗を低い能力の証拠としてとらえる
・失敗を低評価の情報とし、不安を喚起する
・指導者を評価者・判定者としてとらえるetc.

能力の高い選手とペアを組んでいると、どうしても自我目標に目が向きがちです。自我目標志向が高いと、自信があるときはイケイケどんどんで調子よく進みますが、自信が低下すると途端に空回りしてしまいます。

本来、能力が高い選手であっても課題目標を持った方がいいんです。それが自我目標にもつながってきます。中学生の、特に女子は、無意識に周りと比較してランキングしたり、ラベリングする傾向がありますが、比較はあくまでも参考程度にして、自分の進化、成長、グレードアップを考えましょう。

心は一人ひとり違います。誰かが成功した方法を同じようにやっても、成功できるとは限りません。自分で模索して切り拓いていくしかないのです。答えが分からないからこそ、探し求める過程で、練習や試合で気づきを得て、次の練習や試合をさらにより良いものにしていくことができます。そうやって、主体性も自然と身についていくのです。


著者Profile 大儀見浩介●おおぎみ・こうすけ
東海大一中(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将、東海大学進学後、高妻容一研究室にて応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、さまざまな分野でメンタルトレーニングを指導している。2012年、メンタルトレーニングを広く伝えるために「株式会社メンタリスタ」を立ち上げる。著書に『クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー世界一わかりやすいメンタルトレーニング』(フロムワン)、『勝つ人のメンタル~トップアスリートに学ぶ心を鍛える法』(日経プレミアシリーズ)。年間約250本の講演活動を行っている。

注目の記事

映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』
ベースボール・マガジン社
ベースボール・マガジン社
ソフトテニス・マガジンお詫びと訂正