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2022.11.20

【メンタル強化連載】第二回・ストリングを整えると落ち着くのには、理由がある。

第二回◎アイ(視線)・コントロール

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ストリングを整える錦織圭

日頃の練習や試合で気になる、ちょっとしたメンタルの疑問への考え方を専修大学の佐藤雅幸先生に解説いただく本連載。第二回は、ストリングを整えることの効果について。無意識に整えていたストリングによって自然と不安から意識が外れ、集中力が戻ってきていた!

悩んでいる時は、不安、恐れ、迷いにアテンション、アクセス(※)している

佐藤雅幸(専修大学教授)

アメリカのスポーツ心理学者が、世界トップレベルテニス選手における試合中の動作を分析した研究があります。動作といっても打球フォームや打点ではなく、ポイント間に何をしているのかを調査した結果、ポイントが終わると深呼吸をしながらストリングを注視し、よじれたストリングを指で丁寧に整えていることが分かりました。

テニスはエマージェンシー(緊急事態)の競技と言われるように、緊急サイレンが常に流れている状態で、状況を冷静に判断してプレーしなければなりません。特にポイントを失った時には、「なぜ? どうして? 信じられない……」といったネガティブな感情が出てくるもの。そんな時、よじれたストリングを指で丁寧に整えることで、ネガティブな感情からニュートラルな状態に切り替えることができます。ストリングのよじれは自分の心の状態だとイメージして、しっかり整えると良いでしょう。

近年、アスリートのパフォーマンス向上や企業における社員のこころと身体の健康のための「マインドフルネス・トレーニング」が注目されています。マインドフルネスとは、今の自分に集中することで無駄な思考を取り払い、落ち着きのある状態を作り上げるためのもの。悩みに思考がアクセスしているときには悩みに支配され、希望や夢にアクセスしているときはポジティブな感情が湧き出てくると言われています。何にアクセスするかによって感情は変わってくるわけですから、自分でアクセスするポイントをコントロールすることが重要なのです。

※attentionとは注意、注目すること。accessとは接続すること

「悩むことが悪いのではなく、悩む時は一生懸命悩んで良い。伸びたいから、成長したいから悩むのです」と佐藤先生。中途半端に悩むと大切な時に思い出してしまうもの。悩んでも解決できなかった場合は「よし、次に悩む時のためにボックスの中に入れて鍵をかけておこう」と考えるのも良い方法だ

ストリングの他に、帽子の裏のキーワードを読むとかも良いですね。でも、ストリングを整えるのもキーワードを読むのも、試合中にやれるようになるためには、練習中に本番を想定してリハーサルしていくべきです。しっかり準備することで良い結果に繋がります。

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第一回◎意味付け(条件付け) 伸びる選手はゴミもエネルギーにする?
写真◎BBM、GettyImages 取材◎井口さくら

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